オピ・リーナ opi-rina
menu
オピ・リーナ opi-rina
ニュース 中日新聞ニュース

円頓寺の老舗「浅田屋」家族が復活

店主死去で17年に閉店 常連客から喜びの声

懐かしの味を目当てに訪れた客でにぎわう店内
懐かしの味を目当てに訪れた客でにぎわう店内

 名古屋市西区の円頓寺(えんどうじ)地区で2017年、2代目店主の伊藤徳興(とくおき)さん=当時(76)=が亡くなって約75年の歴史に幕を下ろした麺処(めんどころ)「浅田屋」を、家族が6月にリニューアルオープンさせた。円頓寺商店街では老舗が次々と閉店する中、サラリーマンらのおなかを満たす名店の復活に、常連客たちからは喜びの声が上がっている。(小沢慧一)

 「また食べられてめちゃうれしい」。近くの会社で働く常連の男性(55)は、上機嫌で麺をすする。同じく常連の男性(60)も「円頓寺商店街はおしゃれな店ばかりになっておじさんは入りにくいが、この店はほっとする」と笑顔だ。

 新店舗は「あさだ屋」と名を改めた。自宅も兼ねて約75平方メートルあった旧店を改装し、通りに面した場所は別の飲食店に貸したため、建物の横の細い路地を抜けた先が、新店舗だ。広さはかつての半分以下だが、店内で旧店の品書きの木枠が使われたり、店の前には製麺に使っていた機械を展示したりして、当時の雰囲気を残している。

地図

 徳興さんの妻あさ子さん(74)と次女の多田文子さん(50)の2人で切り盛りするため、メニューは5分の1に減らし、きしめんと中華そばが中心に。製麺もやめた。味噌(みそ)味のピリ辛スープに野菜がたっぷり入った「味噌中華」など、人気メニューは健在だ。

 同店は、1941年に徳興さんの父の九一(くいち)さん(93年死去)が創業。戦時中の混乱期も店を続けた。自家製のうどんやきしめん、そば、丼物を出し、夜は安く酒も提供。昼夜共に、サラリーマンに愛された。だが、大黒柱の徳興さんが亡くなったことで、ファンに惜しまれながら17年に店を閉じた。

 店のリニューアルを提案したのは、文子さん。土地を貸すことも考えたが、再開を求める常連の声や、閉店後、活気にあふれていた母が抜け殻のように元気をなくす姿をみて、自身も子どもの頃から親しんだ店を失うのが忍びなくなった。

再開した「あさだ屋」を切り盛りする店主の伊藤あさ子さん(左)と次女の多田文子さん。店前には昔使われていた製麺機が置かれている=いずれも名古屋市西区那古野のあさだ屋で
再開した「あさだ屋」を切り盛りする店主の伊藤あさ子さん(左)と次女の多田文子さん。店前には昔使われていた製麺機が置かれている=いずれも名古屋市西区那古野のあさだ屋で

 商店街では老舗が相次いで閉店する一方、新しい店舗が次々とオープン。若い店主たちがイベントを企画し、にぎわいを取り戻している。だが、遠方の客が多く、平日になると人はまばらだ。

 文子さんは「商店街のにぎわいは、そこに住む人や働く人がつくる、もっと日常的なもの」と話す。だからこそ、毎日のように常連客と顔を合わせ、店内にはたわいもない会話で笑い声がこだまする。徳興さんが好きだったそんな昔ながらのお店を、母子2人でこれからも残していくつもりだ。

(2019年7月11日)

<< 前の記事 次の記事 >>

News 中日新聞ニュース

Today's Fotune 今日の占い

Mail Magazine 登録無料

下記フォームより
メールアドレスの登録を行ってください

> 登録 >>メルマガについて
ページトップに戻る