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映画パーソナリティー☆松岡ひとみのシネマレポート!

白石和彌監督 主演佐藤健 『ひとよ』絶賛公開中!

2019年11月15日 22:34 | コメント(0)

 

2019年は3本の映画が公開された白石和彌監督。

長編映画デビュー作「ロストパラダイス・イン・トーキョー」から11本目となる

『ひとよ』が11月8日(金)に公開となりました。

 

日本で一番アツイ映画監督 白石和彌さんにインタビューの様子をお送りします。

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(C)2019「ひとよ」製作委員会

 

今年の初夏に香取慎吾さん主演の『凪待ち』ではインタビューさせていただき、

香取慎吾さんの舞台挨拶の司会を担当しました。

『凪待ち』は今も日本の何処かで上映されており、公開時の映画館のあと各地のミニシアター系劇場で上映が続いています。

つい最近まで東海地区ではセンチュリーシネマ、シネマスコーレにて上映されていました。監督は、時間のある限り、上映している全国の映画館に出向き自ら来場者プレゼントを配り、お客様からの質問を受け、丁寧に答えてくださいます。

製作者の思いや撮影エピソードを地方の映画ファンは直接聞けるチャンスあまりないので、上映後のティーチンはどこの地域も盛り上がったようです。

その『凪待ち』の余韻が醒めないうちに新作『ひとよ』が公開となったのです。

 

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『ひとよ』の名古屋キャンペーンで監督にお会いして開口一番、ご挨拶代わりに「また会っちゃいましたね」と言うと、

「僕自身もスケジュールがどうなっているものか混乱しています(笑)」と茶目っ気たっぷりに答えていました。

そう、これが白石さんの人としての魅力のひとつ。

人なつっこくて、いつどこでお会いしても、売れっ子になっても変わらない人なのです。

衝撃的なバイオレンス映画『凶悪』や『狐狼の血』を製作した人とは思えませんね(笑)

 

『凪待ち』の監督インタビューと香取慎吾さん舞台挨拶の記事はこちらです。

https://opi-rina.chunichi.co.jp/matsuoka-cinema/2019/06/27/034167.html

 

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監督初の舞台劇の映画化

新作『ひとよ』は、劇作家・桑原裕子さんが主宰する劇団KAKUTAが初演した舞台を映画化しています。

父の暴力から3兄妹を守るために、罪を背負うことを決めた母親。彼女の決断によって人生を狂わされてしまった稲村家の3兄妹の葛藤と戸惑いを、現在と過去とを交錯させながら描く感動のヒューマンドラマ。

映画化の経緯は、本作のプロデューサーがKAKUTAの「ひとよ」を観賞し、魂を打たれ監督にオファー。KAKUTAの舞台は観たことがあったそうですが、「ひとよ」は未鑑賞だったため、戯曲を読み、DVDで初演と再演を観て桑原さんの紡いでいる物語の強さに心打たれたそうです。

長編映画11本目にして舞台の映画化は初めての挑戦。初といえば、監督はいままで疑似家族の物語を描いてきましたが、本作では血縁のある家族を描いています。

監督にとって血縁のある家族を描くと言うことは、自身の家族と重なる部分が多かったといいます。お母様を交通事故で亡くしたこと、何年も連絡がとれなかった弟のこと、映画監督を目指し家を出てから何年も実家に戻らなかったこと。

その時の感覚や感情がよみがえり、3兄妹は自分のことのように思えたそうです。

 

作品の中の強い女性像

監督の映画の特徴は女性が強い。ターミネーターで言えばサラ・コナーのような母性と芯の強い女性。

今回も田中裕子演じる母親・こはる、3兄妹の妹の園子、筒井真理子・韓英恵が演じたタクシー会社の従業員など強い生命力を感じます。

監督曰く「男は撃たれて死んじゃえばいいですよ!(笑)今回の兄弟もメソメソしている!僕もたまにメソメソしています」と。

最近の「メソメソ」したことは、キャストたちと焼肉を食べに行く約束をしているけど、それがなかなか実現しないことだそうです(笑) 

 

 

佐藤健さん、田中裕子さん、鈴木亮平さん、松岡茉優さん

白石組初となる俳優の起用について

 

 

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(C)2019「ひとよ」製作委員会

 

今回、冒頭から圧巻の演技で観る者の心を掴んだのは 母親・こはるを演じた田中裕子さん。

監督がこの映画の企画を立ち上げたときの絶対条件の中に、母親役は田中裕子さんと決めていたそうです。

オファーしてからお返事をいただくまで1年半かかったのは、精神的にも辛い役柄だったからでしょうか。

監督にまず、田中裕子さんとの仕事についてお聞きしました。

「田中さんに演出でシーンの説明などをすると常に淡々と答えられて、こちらの思い通りの演技をされる。なにをされても背筋がピンとのびましたね。台詞なしで表情だけですべてのことを伝えられる方でした。」

次男の雄二が中学生のころ、エロ本を万引きしてしまうシーンがあるのですが、その時の田中さんの台詞が衝撃的で、思わず噴き出しそうになってしまった。なんというかチャーミングなんですよ。

監督はそのシーンについて「コメディとしても成立させちゃう人なんです」と語ります。

母親がいなくなってからの数十年。3兄妹は母の帰りを心の奥底では願っていたはずですが、いざ帰ってくると気持ちの整理がつかず戸惑ってしまう。

わたしの解釈ですが、次男の雄二は自分が思い通りの職業につけないのは「母親のせい」と酷く恨んでいるように思えました。

佐藤健さんとは一度仕事がしてみたかったという監督。

その理由は、「これほどスター性のある佐藤さんには何かある!と感じていたんです。外に感情をださないという雄二のキャラクターは、佐藤さんにぴったり。実は雄二が一番母親への感情が強いですからね」。

 

長男の大樹を演じた鈴木亮平さん

「ずっと大河ドラマに出演していて、2年間、現代劇を演じていなかったそうです。鈴木さんはキャラクター造形を作るのがうまいです。その一方で、不器用なところもあります。大樹もまた言葉でうまく言い表せない性格なので、その器用さと不器用さの表現がうまいですね。それと弟より、兄のほうが大きいほうが良いと思ったので」。

 

長女で末っ子の園子役の 松岡茉優さん

「この二人を兄弟たらしめてくれる人が必要で、だれもが天才だと感じる松岡茉優さんに御願いしました。サッカーで言うとオフ・ザ・ボールの時が一番面白かったですね」

つまりメインで芝居しているその横での芝居も上手いということなんですね。兄弟が言い合いしている時の横で二人をなだめたり、泥酔してカラオケを歌いながら絡むシーンなど秀逸なのです。いつも酔っぱらっている田舎のスナックにつとめるホステスぶりが、ぴったりでしたが、松岡さんはお酒をそんなに飲まないそう!!

監督の手にかかると今まで観たことのない俳優達の演技をみることができます。

佐藤健さんはカッコイイヒーロー的なキャラクターのほかに、心に闇をかかえた人物も多数演じています。しかし今回は闇と言うより、複雑な思いを抱えている雄二を演じています。

外見的には、無精髭、雑なセックスシーンなどファンからするとビックリしてしまうかも。

監督はつねに主人公には「メイクダウン」を御願いしているそうで、

メイクアップアーティストさんのことをメイクダウンアーティストとよぶくらい。

『凪待ち』の香取さんも、バラエティーで観る「慎吾ちゃん」の姿はどこにもなかった。

 

大樹の妻を演じたMEGUMIさんは監督が強くキャスティングしたかった人のひとり。

「『狐狼の血』では色気のある役柄で御願いしたのですが、とんでもなく演技が上手いことに気づいてしまいました。だぶん、まだ気づいていない人が多いと思いますからこれからオファーが殺到するはず!」と得意げな監督。

「僕が見つけちゃった!」と、少年っぽく言う姿が今回のインタビューの中で一番印象に残っています(笑)

本作の中で私の座右の銘にしたいくらいの台詞があります。

田中裕子さん演じるこはるが佐々木蔵之介さん演じるタクシー運転手・堂下に放つ言葉。

離婚して離れて暮らす息子との数時間の楽しい時間を過ごした数日後、

その息子と彼とのあいだにとんでもないことが起こってしまう。堂下が「あの夜はなんだったんだ!」と嘆くシーンです。

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“自分にとって特別な夜であっても、他の人から見れば特別じゃない。でも自分にとって特別なら、それでいいじゃないの”

これは全ての方に響くのではないかと思います。こはるが堂下に放った言葉ですが、

監督は「こはるにとっては、自分の家族に対しての言葉でもある」と言います。

この台詞を際立たせる脚本の髙橋さんの言葉の力、俳優達の間合い、激しいと取っ組み合い、背景となる寂しげな波止場など…様々な要因・風景が見事に交わり、桑原さんの舞台でもでてくる台詞が、映画だからこそ強く観客の心に響くものになるんだと思います。

私もこれまでなんども経験したことだったので、この言葉は胸に刺さりました。

監督にとって忘れられない「一夜」とは?

「20歳の時、師匠である若松孝二監督に言われた言葉が忘れられない。『止められるか、俺たちを』のなかで映画を撮りたい女性スタッフ(門脇麦)に、若松孝二監督(井浦新)が言う言葉は、実は自分が言われたことなんです。夜中に監督に新宿ゴールデン街に連れていかれて、「お前、どんな映画が撮りたいんだよ、誰かをぶっ殺したいとか、爆破したいとかないのかよ!」と。その時、僕はなんてダメな人間なんだと思いました(笑)。でも、その言葉を言われてワクワクしたんです。あの夜から今もずっ〜と僕はワクワクしています。」

『止められるか、俺たちを』の中にこのシチュエーションを入れたくらいですから

監督にとって忘れられない言葉なのでしょうね。

白石監督にこの言葉を放ってくださった若松孝二監督に感謝!

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 ©2019 TIFF

 

このインタビューから数日後、第32回東京国際映画祭で再び監督にお会いしました。

『ひとよ』は特別招待作品として出品。私は、記者&司会者として参加していました。

キャストとレッドカーペットを歩く姿、上映時のQ&Aなど直接お話することはできませんでしたが

その雄姿を柱の陰から見守っておりました(笑)

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 ©2019 TIFF

 

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 ©2019 TIFF

 

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 ©2019 TIFF

 

白石監督がデビューする前、当時お話ししたことはなかったのですが、

著名な監督の助監督として活躍されていましたので、監督たちからそのお名前を聞いていました。

ワクワクがずっと続く監督の作品をワクワクしながらこれからも楽しみにしています。

 

『ひとよ』

十五年前のある夜、三兄弟が両親と暮らすタクシー会社の営業所で事件が起こる。そのたった“ひとよ”の出来事によって、家族の人生は激変。三兄弟の運命を大きく狂わせてしまう。

そして十五年後、それぞれ別の人生を歩んできた三兄弟は、思いも寄らない家族との再会を果たすことになる。

 

原作・桑原裕子

監督:白石和彌

脚本:髙橋泉

出演:佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優、音尾琢真、筒井真理子、浅利陽介、韓英恵、

MEGUMI、大悟、佐々木蔵之介・田中裕子

 

 

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松岡ひとみ

松岡ひとみ
レポーター、テレビタレントを経て、2010年から映画パーソナリティとして活動。東海地区を中心に、新作映画のみならず旧作から自主映画、短編映画まで取材し、テレビやラジオ、雑誌など各媒体で紹介。また、新作映画の舞台挨拶・記者会見の司会など、東海地区を中心とした映画イベントシーンにおいて欠かせない存在で、通称「映画のお姉さん」。様々な監督との交流も深く、日本各地で映画監督が主催の映画祭に行くことが趣味。
“映画伝道師”として多くの方に映画を愛していただけるような人になるのが夢です!

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