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神野三枝の今日も絶好調!
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第43回 新作「メインディッシュとスタンプ」!?

日本郵便の発表によると年賀葉書の発行枚数は2003年の44億枚をピークに急速な下降傾向にあり、2019年は23億枚だったということです。となると、この16年の間に21億枚の年賀葉書が人々の暮らしの中から不必要とされたということになります。人口の増減を調べてみると少子高齢化の影響からごく緩やかには減少をしているものの、さほど変わりはありません。結局のところインターネットの普及とともに、人との繋がりが容易になった上、スピーディーさも増し、さらにはSNSの拡散によって時候の挨拶などは極端なことを言えば自分は配信元となり一斉に閲覧してもらえば用が足りる時代なのです。

さらに追い討ちをかけたと思われるのが個人情報の保護意識の浸透。相手の住所を知らず、こちらの住所も開示せずとも荷物が送れる時代、学校でも職場でも今や名簿はなくなり、他人に住所を聞くことが常識外れのような風潮から、年賀状を送りたくても送りようがない世の中とも言えます。また、何をするのも面倒でしんどい高齢者にとって年賀状は煩わしいものとなり、現実問題年賀状を購入する出費も痛手で、最近では「年賀状仕舞い」という言葉を使って、自分にとってキリのいいと思う時期に、「今回を最後のご挨拶とし、以降の年賀状を辞退させていただきます」とご案内する方が増えています。

スマホは便利で、仕事中であっても私用のメールや会話ができ、ネットで買い物をすれば次の日に届くローリスクに慣れた我々にとって、何日も首を長くして相手から来るか来ないかわからない手紙を待つことはハイリスクで煩わしいツールなのです。しかし、その煩わしさにロマンを秘めたのが岩井俊二監督の最新作「ラストレター」です。映画を観て感じるのは、手紙しかない時代ヤキモキする自分の気持ちをさらに翻弄する時間の流れの遅さ。その過程で育っていく欲情。この映画を観てネットを使うのを止める気には決してならないけれど、ただ我々は便利を求めすぎた故に、情緒という気持ちの奥底から湧き出る感情を育てる機会をなくしかけているのかもしれない、と感じました。

ポケベルを使いこなし始めた時、これで直接会話ができたらもっと便利なのに~と思った30年前。あっという間に携帯電話が開発され、今や子どもでも個人のスマホを持つ世の中。昔、各家庭の電話はお座布団のようなものの上に置かれ、本体にも持ち手にも布カバーが掛けられ、それを思うだけでも電話がとても貴重なものであったかわかります。それが今、逆に会話するのを面倒に思い、電話がかかってきても「何だった?」とメールで返し、会話という余計な労力を使いたくない流れさえあります。必要なことだけを文字で送り合う。もっと言えば文字も面倒だからスタンプで済ませて会話した気になってしまっている現代人。

そういえば、新年に帰省していたドイツで暮らしている友人が日本のサウナを体験したいというので、スーパー銭湯に連れて行った時、サウナに入ると彼女は不思議そうに言うのです。「どうしてみんな黙っているの?」それはマナーだからだよと教えると、驚いた彼女が言うにはドイツ人にとってサウナはコミュニティーであって会話を楽しむ場所、人のしゃべり声が耳障りと感じる日本人を信じられないと。ここで感じたのはマナーという名の、しゃべること自体に億劫になりかけている日本人の実態です。家で母親がご飯のできたことを子供に知らせるのもLINEで「ご飯できたよ。」と知らせる家庭もあるそうで、生まれた時からネット社会の若者にとって、意思の伝達は文字であって発声を必要としないものが圧倒的に多いのです。文字で伝える時は顔色を伺う訓練が必要ないので、目的の言葉だけ伝えれば良いわけで、必然的に文章力など必要なく、文節で事足りてしまうのです。そして愛嬌付けにスタンプで完了。

先日立ち寄ったアクセサリーショップで商品を眺めていた私に声をかけてきた店員の若い女性。
背後から「悩んでますぅ?」と話しかけてきました。「悩んでますぅ?」彼女には繁々と見る私の姿が買おうかやめておこうか悩んでいるように見えたのでしょう。しかし、会話の最初の言葉が「悩んでますぅ?」というのはあまりにも唐突すぎやしませんか?「いらっしゃいませ」とか、「何をお探しですか?」とかのご挨拶から歩み寄って本題に入っていくのは邪魔くさいのですかね?フルコースでいうなら前菜もスープも魚もなしにいきなり肉料理!みたいな。挨拶もなしのズケズケ感満載に感じるこのギャップは世代間の相違でしょうか。なんだかな~と思いつつ「何も悩んでいません。」と聞かれたことだけに答えた私。すると彼女は何も言葉を発することなく、ただニコッと微笑んで立ち去って行きました。スタンプのような笑顔。これで完了のようです。

「メインディッシュとスタンプ」まるで、新作映画のタイトルのようです。

貴女は美しい会話を話せる女性でいますか?
美しい言葉遣いと綺麗な文字は自分の心持ちだけで品格を上げてくれる手段。
便利に流されながらも芯(心)の通った生き方が素敵です。

気負わず、焦らず、穏やかに。 さあ、今日も元気を出して、絶好調で!

(2020年01月20日)

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