オピ・リーナ opi-rina
menu
オピ・リーナ opi-rina
大竹敏之のでらうま名古屋めし探訪
大竹敏之のでらうま名古屋めし探訪

「來杏 担担麺房」の(名古屋式)汁無し担担麺

汁無し担担麺900円。たっぷりのミンチ、ネギ、そしてタレが麺にからむようよくかき混ぜて食べる
汁無し担担麺900円。たっぷりのミンチ、ネギ、そしてタレが麺にからむようよくかき混ぜて食べる

 「名古屋で生まれて広まった平打ち麺の汁無し担担麺。これはもう名古屋めしです!」。

 こう力説するのは名古屋めし専門料理研究家のSwindさん。「もともとの四川の担担麺も細麺ですし、広島にも汁無し担担麺文化がありますがあちらは細麺でした。他地方から来た人に紹介すると、皆さん“平打ち麺なんだ!”と驚かれるので、名古屋独自のスタイルであることは間違いないです!」といいます。

 Swindさんにこの料理の考案者の店だと教えてもらい、訪れたのが「來杏(らいか)」です。

細麺→太麺→平打ち麺と進化を経て現在のスタイルに

平打ち麺がタレ、ミンチとの一体感を生む。一般的なきしめんよりもやや幅が広く、噛み応えもある
平打ち麺がタレ、ミンチとの一体感を生む。一般的なきしめんよりもやや幅が広く、噛み応えもある

 「最初はまかないとして食べていたんです。今から20年ほど前のことになります」とオーナーシェフの中村和也さん。当時勤めていた中華料理店で人気メニューだったのが、一般的な汁のある担担麺。まかないで手早く食べられるよう汁無しにしたところ、細麺だと辛みがダイレクトに伝わりすぎる。そこで太麺を試してみると、辛みの伝わり方がちょうどよくなったのだといいます。

 その後、2000年に名古屋市内に担担麺専門店を出店。この新店舗のオープンにあたり、メニューバリエーションを充実させるために汁無し担担麺をグランドメニューに“昇格”させることに。ただし、当初は太麺。これを現在のような平打ち麺に変えたのは、ふたつの理由がありました。

「濃厚ではっきりした味が名古屋人にウケた。でも、他の地方の人でもハマる人は多いですよ」とオーナーシェフの中村和也さん
「濃厚ではっきりした味が名古屋人にウケた。でも、他の地方の人でもハマる人は多いですよ」とオーナーシェフの中村和也さん

 「太麺だとゆでるのに時間がかかるんです。ランチタイムなどは特に込み合うので、平打ち麺なら時間を短縮でき早く提供できる。また、名駅の地下街という立地柄、他地方のお客様も多かったので、きしめん風の平打ち麺だと名古屋らしさを感じてもらえる。一石二鳥だと考えて平打ち麺に変更したのです」。

 こう振り返る中村さんですが、完成にいたるまでには試行錯誤があったそう。タレやミンチがからみやすいよう麺の幅を研究。きしめんではなくあくまでラーメンの玉子麺のため、既存の平打ち麺はなく、このメニューのためだけのオリジナル麺をつくることになりました。

辛いだけじゃない!麺との一体感でうまみ、甘みも広がる

 名古屋人にとってはきしめんにも似た平打ち麺は親しみやすく、それでいてきしめんのようにつるつるしすぎていない上にやや縮れてもいるため、ミンチやタレがよくからみます。よくかき混ぜて口へ運んだ瞬間に広がる、濃厚な味わいの一体感といったら・・・!ミンチは八丁味噌ベースの甜面醤(テンメンジャン)を使っているためコクが強く、これも名古屋人の口に合う要因でしょう。確かに辛いのですが、それ以上にうまみやまったりしたコクが混然一体となって口の中いっぱいに広がり、箸が止まらなくなります。

 近年は名古屋各所の中華料理店などにも広まりつつある汁無し担担麺。一度食べたら忘れられない中毒性は、新・名古屋めしとして今や全国区になりつつある台湾まぜそばにも相通じます。名古屋の新たなご当地麺として、今後ますます多くの人がヤミツキになること間違いナシです!(写真撮影/すべて筆者)

「來杏 担担麺房シンフォニー豊田ビル」はカウンターがあり1人でも入りやすい。すぐ近くの「來杏 本店」と、「來杏 担担麺房ジャズドリーム長島店」(三重県桑名市)の計3店舗で食べられる
「來杏 担担麺房シンフォニー豊田ビル」はカウンターがあり1人でも入りやすい。すぐ近くの「來杏 本店」と、「來杏 担担麺房ジャズドリーム長島店」(三重県桑名市)の計3店舗で食べられる
杏仁豆腐も名物。単品380円が麺とのセットだと120円になりおトク。さっぱりした甘味で、担担麺の後のデザートとしてぴったり
杏仁豆腐も名物。単品380円が麺とのセットだと120円になりおトク。さっぱりした甘味で、担担麺の後のデザートとしてぴったり
 

そうだったのか!名古屋めし

 名古屋めしの中には特定の店が開発してヒット商品になり、その後、他店にも広まって名物になったものが少なくない。「味仙」発祥の台湾ラーメン、「風来坊」が生んだ手羽先唐揚げ、「スパゲッティハウス・ヨコイ」が元祖のあんかけスパゲティ、「喫茶ユキ」から広まった鉄板スパゲッティ、「喫茶満つ葉」考案の小倉トーストなど。最近では「麺屋はなび」が創作した台湾まぜそばが爆発的に広まっている。

 これらはいずれも発祥店が商標登録をせず、他店が類似メニューを出すのも意に介さなかったことで広く普及した。食文化に限らず文化として浸透するにはオープンソースであることが重要。汁無し担担麺も、多くの店が自由に採用して、名古屋めしとして市民権を得られるようになることを期待したい。

來杏 担担麺房 シンフォニー豊田ビル店

來杏 担担麺房 シンフォニー豊田ビル店

住所:名古屋市中村区名駅4-11-27シンフォニー豊田ビルB1
TEL:052-462-1102
営業時間:11時~15時、18時~22時(ラストオーダー各30分前)
定休日:無休
駐車場:なし
アクセス:JR名古屋駅より徒歩3分

(2019年12月26日)

大竹敏之

大竹敏之(おおたけとしゆき)

「おいしい名古屋めしのお店、連れてって」。今や地域の名物にして観光資源にまでなっている名古屋めし。他県から来た友人知人にこんなふうに頼まれることも多いはず。しかし、そこで、はたと悩んでしまう人もまた多いのでは? 地元っ子も知ってるようで意外と知らない、名古屋めしの本当に“うみゃ~”店を、名古屋めしライターこと大竹敏之がご案内します。

大竹敏之コラム

神野三枝コラム

澤田貴美子コラム

Today's Fotune 今日の占い

Mail Magazine 登録無料

下記フォームより
メールアドレスの登録を行ってください

> 登録 >>メルマガについて
ページトップに戻る