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大竹敏之のでらうま名古屋めし探訪
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「浪花餅」の鬼まんじゅう

「浪花餅」の鬼まんじゅう1個140円
「浪花餅」の鬼まんじゅう1個140円

東海地方以外にはない鬼まんじゅうは“隠れ名古屋めし”?

 鬼まんじゅうは名古屋の人にとってはおなじみのおやつ菓子。角切りにしたさつまいもがゴロゴロ入った小麦粉生地の蒸しまんじゅうです。

 名前の由来は諸説あり。生地の間からにょきにょき飛び出たさつまいもが鬼の角のように見えるから。江戸時代の米不足の際に、天候不順にも強いさつまいもを食べて災厄(鬼)を追い払おうと願をかけた・・・など。

 名古屋や周辺では和菓子店やスーパーなどでよく見られる鬼まんじゅうですが、実は地域限定のご当地菓子。普及しているのは愛知県が中心で、東海3県に限られます。戦前はこの地域でさつまいもの栽培が盛んだったことから広まったという説もあります。

さつまいもがおいしい時期だけつくる期間限定品

 この名店といえば千種区覚王山の梅花堂がダントツに有名で、午後だと売り切れになることも珍しくありません。

 もう一軒、私が「これは!」とそのおいしさに膝を叩いたのが浪花餅。大須の仏壇街の一角にひっそりとある目立たないお店です。現在の場所に店を構えたのが大正9年。現在のご主人は4代目という老舗です。小ぢんまりとした店のショウケースにはおはぎなど“朝生”(朝つくってその日のうちに食べ切るおやつ菓子のこと)と呼ばれる庶民的な和菓子が数種類。あとは赤飯などを注文に応じてつくるくらいだといいます。

ショウケースにはその日つくった数種類の和菓子が並ぶ
ショウケースにはその日つくった数種類の和菓子が並ぶ
うさぎが「もち」つきするかわいらしいトレードマーク
うさぎが「もち」つきするかわいらしいトレードマーク

 鬼まんじゅうは大きめの角切りさつまいもがごろごろ。ほくほくしながらも歯切れがよく、いもそのものの素朴な甘みが広がります。つなぎのもちの部分はもっちりしつつもべたつかず、これまた歯切れが抜群です。

 「さつまいもはちょっと固めで、ふかした時にちょっと白っぽくなるものがいいんです」とご主人の上野光一さん。素材の味をそのまま活かすシンプルな菓子だけに冷凍物のさつまいもは一切使わず、つくるのは6~2月頃までに限定しているそう。今の時期はちょうど掘りたての新いもが入ってくるので特においしいといいます。

 鬼まんじゅうはほとんどの店で賞味期限1日のみと日持ちがしないため、おみやげには不向きで、名古屋のご当地グルメの中でも他県ではあまり知られていません。それだけによそから友人が来た時におやつとして出すと喜ばれ、また話に花が咲くはず。こんな知る人ぞ知る隠れた老舗の一品でおもてなししてみてはいかがでしょうか。(写真撮影/すべて筆者)

自慢の赤飯は強い蒸気で蒸すのでべたつきがまったくなく、粒感がしっかりあるもち米から噛むごとに甘みが出てくる。1パック420円
自慢の赤飯は強い蒸気で蒸すのでべたつきがまったくなく、粒感がしっかりあるもち米から噛むごとに甘みが出てくる。1パック420円
4代目のご主人が考案したカステラ生地のオレンジ焼き。1個140円
4代目のご主人が考案したカステラ生地のオレンジ焼き。1個140円
 

そうだったのか!名古屋めし

 和菓子は素材や製法に地域性はないのに限られた地域だけで親しまれているご当地菓子が数多い。名古屋では熱田神宮ゆかりの藤団子(とうだんご)、尾張藩の御用菓子である蒸し羊羹の上り羊羹、初かつをなどがある。茶席菓子として市内の多くの店が手がけるこしあん入りのわらび餅も他ではあまり見られないもので、これは徳川園近くの芳光が京都で修業を積んだ後に独自に進化させた。これらはいわゆる「名古屋めし」にカテゴライズされることはないが、名古屋らしさを感じられる美味として大切にしたい。

浪花餅

浪花餅は桑名出身の創業者が名古屋で始め、こちらの店はのれん分け。本店は瑞穂区の堀田駅近くにある
浪花餅は桑名出身の創業者が名古屋で始め、こちらの店はのれん分け。本店は瑞穂区の堀田駅近くにある

住所:名古屋市中区橘1-16-39
TEL:052-321-1277
営業時間:8時40分~17時頃
定休日:木(他、臨時休業あり)
駐車場:なし
アクセス:地下鉄上前津駅または東別院駅より徒歩15分

(2019年10月24日)

大竹敏之

大竹敏之(おおたけとしゆき)

「おいしい名古屋めしのお店、連れてって」。今や地域の名物にして観光資源にまでなっている名古屋めし。他県から来た友人知人にこんなふうに頼まれることも多いはず。しかし、そこで、はたと悩んでしまう人もまた多いのでは? 地元っ子も知ってるようで意外と知らない、名古屋めしの本当に“うみゃ~”店を、名古屋めしライターこと大竹敏之がご案内します。

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