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大竹敏之のでらうま名古屋めし探訪
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「とん八」の味噌おでん

味噌おでんはすべて1本150円。手前からすじ肉、はんぺん、こんにゃく、厚揚げ
味噌おでんはすべて1本150円。手前からすじ肉、はんぺん、こんにゃく、厚揚げ

アッと驚く“黒い”味噌おでん

 赤味噌というより黒味噌・・・!?と驚く人も少なくないのでは。いろいろな店で味噌おでんを食べてきた筆者も、こんなに黒いのは他では見たことがありません。そんな驚きの味噌おでんを食べられるのが、昭和23年創業の「とん八」です(味噌カツで紹介した鶴舞の「とん八」とは別の店です)。

 驚くのは色だけではありません。見た目はこってり濃い口そうですが、いざ口に運んでみるとまるでソースのようにさらっとしていて、コクや甘みはほんのり、そして少し焦げが入ったような香ばしさがあるのです。ある有名料理人が「和風デミグラスソース」と称した、というのにも納得です。

ネタは全8種類。奥の皿は玉子、大根、豆腐、里芋。酒はビールと日本酒1銘柄とこれまたいたってシンプル。
ネタは全8種類。奥の皿は玉子、大根、豆腐、里芋。酒はビールと日本酒1銘柄とこれまたいたってシンプル。
味噌のつゆはご覧の通り真っ黒!
味噌のつゆはご覧の通り真っ黒!

 「愛知県産の豆味噌の同じ銘柄をずっと使い続けています。材料は他に水ときざら(ザラメ)だけ。牛すじなど具材のエキスがダシになっています。黒っぽく見えるのは継ぎ足し継ぎ足しで使い込んでいるから。1/3に煮詰まったら2/3の水を足すのでえぐみが薄くなっているんでしょう」と店主の彦坂泰朗さん。「味噌らしさを期待するお客さんには物足りないかもしれません」と謙遜し、確かに一般的な味噌おでんの風味やこてこて感とはまったく別物ですが、想像もつかない唯一無二の味わいのサプライズは期待をはるかに上回ります。

 おでんの具は大根、すじ肉、玉子、豆腐、こんにゃく、はんぺん、厚揚げ、里芋の8種類。煮込むのは1時間ほどだといい、味噌がしみ込みすぎていないのもさっぱりした食べ口の所以でしょう。食べ進んでも決してくどさは感じないので、全種類ぺろりとイケてしまいます。

自家製パン粉の衣に味噌がしみ込む串かつも絶品!

 味噌おでんの店に欠かせないのが串かつです。ここでも揚げたてを味噌つゆの中へどぼん! サクッと揚がった自家製パン粉の衣が味噌でほのかにしっとり。脂身の少ない豚もも肉はあっさりしていて、2本、3本と手が伸びます。

串かつも1本150円。カリふわの衣ともも肉で食べごたえもある。
串かつも1本150円。カリふわの衣ともも肉で食べごたえもある。
カウンター15席の小ぢんまりとした店内。昭和23年に南外堀町で開業し、当初は食堂的な業態だったが、昭和45年に現在の場所に移転した際に味噌おでんと串カツのみのシンプルなスタイルに切り替えたそう
カウンター15席の小ぢんまりとした店内。昭和23年に南外堀町で開業し、当初は食堂的な業態だったが、昭和45年に現在の場所に移転した際に味噌おでんと串カツのみのシンプルなスタイルに切り替えたそう

 メニューはこの味噌おでんと串かつ(味噌かソース)、他には関東煮のおでん、ごはん、赤だしだけ。昼ごはんでも夜飲みでも、お好みの数だけささっとつまむ粋な使い方がぴったりです。

 名古屋めしの核ともいうべき味噌グルメ、その奥深さをあらためて味わうことができる老舗の妙味。味噌が苦手、という人も是非お試しを!(写真撮影/すべて筆者)

そうだったのか!名古屋めし

 名古屋の味噌は、よく「八丁味噌」「赤味噌」と呼ばれます。しかし、この呼び方は間違いとまでは言いませんが、少々誤解も含んでいます。

 日本でつくられている味噌の最も基本的な分類は、原料による「豆味噌」「米味噌」「麦味噌」の3種類。このうち、名古屋で主に食べられているのは、塩と大豆だけでつくる「豆味噌」です。豆味噌は生産も消費もほぼ東海地方に限られ、市場は味噌全体の10%に満たない程度といわれます。米味噌や麦味噌は発酵を促進するために米麹、麦麹を加えたもので、全国ほとんどの地域をカバーするのが米味噌、九州など西日本の一部で食べられているのが麦味噌です。この3種類のうち複数を合わせたものが「合わせ味噌」です。

 「八丁味噌」は「豆味噌」の代名詞となっていますが、正しくはあくまで代表的なブランドのひとつです。もともとは岡崎の2社が伝統的製法でつくっているものを指し、愛知県内の他の味噌メーカーが主に業務用につくっているものにもこの名が使われています。

 「白味噌」や「赤味噌」はその名の通り、見た目の色による分類です。基本的に熟成期間が長いほど赤っぽく色が濃くなります。豆味噌は特に色が濃く赤茶っぽいので「赤味噌」と呼ばれますが、米味噌の中にも「赤味噌」と呼ばれるものはいくつもあります。

 以上のことから、名古屋および愛知県で主に使われている味噌は、「豆味噌」というのが最も正しく、他の味噌との混同がないのです。

とん八

とん八

住所:名古屋市東区代官町32-5
TEL:052-731-4283
営業時間:11:00~13:30、17:00~21:00(土は20時まで)
定休日:日曜・祝日
駐車場:なし
アクセス:地下鉄新栄駅、高岳駅、車道駅より徒歩約10分

(2019年06月27日)

大竹敏之

大竹敏之(おおたけとしゆき)

「おいしい名古屋めしのお店、連れてって」。今や地域の名物にして観光資源にまでなっている名古屋めし。他県から来た友人知人にこんなふうに頼まれることも多いはず。しかし、そこで、はたと悩んでしまう人もまた多いのでは? 地元っ子も知ってるようで意外と知らない、名古屋めしの本当に“うみゃ~”店を、名古屋めしライターこと大竹敏之がご案内します。

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