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神野三枝の今日も絶好調!
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第28回 人の生き方も物理学

映画館で観る映画が好きです。

スクリーンに吸い込まれ、一人きりの時間と空間を贅沢に味わいながら作品に浸る感覚は、現実の雑踏から一時だけ解放されるような幸福に包まれます。

映画も音楽も視聴者には嗜好食品です。私にとって映画は生きるヒントを気付かせてくれるモノ。
心にジワッと涙が流れるモノであって欲しいモノ。なので私には、戦いモノやSFモノは必要ありません。興味がないと言えばそれまでですが、心を癒すのに必要のないジャンルだと思っています。あくまでも好き嫌いで映画は観ています。

最近見た映画の中で、地味な映画だけれどいつまでも心に心地よく居座っている作品があります。

Netflixで2018年12月14日から配信され、第91回アカデミー賞で10部門にノミネートされた『ROMA/ローマ』です。

アカデミー賞は対象作品を、「ロサンゼルスの映画館で連続7日以上上映された作品。劇場公開以前にテレビ放送、ネット配信、ビデオ発売などで公開された作品を除く」と規定しています。
『ROMA/ローマ』はNetflixの作品なので映画ではないとの見方もある中、米国では配信前の2018年11月21日に劇場公開が始まり、その後延べ100館以上で上映され、日本でも2019年3月9日から劇場公開、アカデミー賞で外国語映画賞、監督賞、撮影賞を受賞した作品です。

内容は1970年代初頭、政治的混乱に揺れるメキシコシティ・ローマ地区での中産階級の家庭に訪れる激動の1年を若い家政婦の視点から描いた、家族の愛の物語を描いたモノクロ映画です。
医者である夫アントニオと妻のソフィア、4人の子どもたちと祖母が暮らす中産階級の家で、家政婦として働く若い女性クレオ。やがて恋人との間に子を宿すクレオ。ところがまさかの裏切りに。一方、ソフィアとアントニオ夫婦にも絶望の裏切りと試練が・・・。

映画では執拗に家の敷地内の駐車スペースに車を駐車する主人のアントニオと、妻のソフィアの運転シーンが出てきます。

車幅ギリギリの駐車スペースなので毎回あちこちぶつけ、車も家も大破します。思い通りに駐車できない苛立ちは、夫婦互いの心を擬似表現しています。ストーリーは展開し、或る日突然、妻のソフィアが小さな車に買い換えてストレスなく駐車するシーンが映し出されます。その清々しいほどの痛快感。このシーンこそこの映画のテーマです。

どうにもならない相手にしがみついたところで物理的に無理なのです。心は時に傷つき壊れることもあります。しかし壊れた心は、守るべきものに気付いた時に強さを宿します。人は悲しく傷ついたことで強くなり、愛された喜びで優しさを身につけるものです。

人生は自分次第。人の生き方も物理学なのです。無理なものにしがみついても所詮壊れるだけです。この映画でいう大きな車と狭い駐車場という合わないサイズのように、無理を押しても傷つくだけです。自分に合わない生き方を捨てる勇気を持つことで、新しい生命力が得られることをこの映画は静かに伝えています。

ソフィアとクレオ、二人の選択も女性の生き方でしょうし、そればかりとも限りません。

以前、知り合いの女性からご主人の浮気を相談されたことがありました。その詳細はひどいもので、私なら離婚を選択して人生をリセットしていたであろう裏切りでした。
奥さんは実家に戻り離婚の準備をすると言い残し、私の前から姿を消したのでした。ところがそれから数年後、風の便りで、あのご夫婦がまだ離婚していない事を知りました。聞くところによるとあの後、ご主人に命に関わる大きな病気が発症し、愛人どころではなくなったそうなのです。病に侵されたご主人は奥さんを頼るしかなく、愛人を見捨て家に戻り、身勝手なご主人を奥さんは懸命に看護しているとのこと。

「何と都合がいい男!愛人に面倒見てもらえ!」と怒鳴りたくなる話ですが、奥さんは自分の元に戻ってきた満足感で離婚を踏み留まり元の鞘の治ったというのです。一方ご主人は大病を患ったことで家族の大切さに気づいたというのですが、本当に学びの時を迎えたのでしょうか。

ようやくご主人が自分の元に返ってきてくれた奥さん。これで幸せだったのでしょうか?
人生は皮肉なものです。修復にはいろんな形があるのです。

気負わず、焦らず、穏やかに。
さあ、今日も元気を出して、絶好調で!

(2019年06月03日)

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