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柔道・松本薫さん、現役引退会見

「育児と野獣、両立難しい」

現役引退の記者会見を終え、花束を贈られ笑顔を見せる柔道女子の松本薫さん=東京都渋谷区で
現役引退の記者会見を終え、花束を贈られ笑顔を見せる柔道女子の松本薫さん=東京都渋谷区で

 気迫あふれる闘いぶりで「野獣」の異名を取り、女子57キロ級で2012年ロンドン五輪金メダルの松本薫さん(31)=ベネシード=が7日、東京都内で現役引退の記者会見を開き「夢や目標は達成された。悔いはない。今はすっきりし、次の人生を楽しみにしている」と笑顔で競技人生を締めくくった。

 昨年11月の講道館杯全日本体重別選手権で1回戦敗退し、20年東京五輪代表が絶望的となった直後に「体力的な限界。五輪は難しいと判断した」という。17年6月に第1子の長女が生まれ「優先順位の一番が子どもになった。子育てと野獣の両立は難しかった」と母親の顔をのぞかせた。

 今後は所属先に残り、社業に携わる予定。「明日のことを考えずに、家族で思い切り遊んでみたい」との希望も口にした。指導者としての活動予定はないものの「求められればアドバイスしたい」と前向きな姿勢を示し、近日中にアイスクリーム店の経営に加わるプランも明らかにした。

 石川県金沢市出身の松本さんは鋭い足技を生かし、世界選手権も10年と15年に制覇するなど女子柔道界を長くリード。3位だった16年リオデジャネイロ五輪後に結婚、出産を経て「ママでも金メダル」と宣言して復帰し、東京五輪を目指していた。

 かつて松本さんを指導した中橋治美さんは「気持ちで相手を投げられる唯一の柔道家」とたたえた。その言葉通り、「強い心」が競技人生を支えてきた。

 2012年ロンドン五輪の前だった。取材が終わり、雑談になると、松本さんがぽつりと口にした。「この前、(五輪代表選考会の一つで)負けたけど、優勝した相手にちゃんと『おめでとう』と言えた。心の底から。それがうれしかった」。さらに「同じ階級の負けた選手には形式的に『おめでとう』と言えても、なかなか心の底から言えないものなんです」とも。

 過酷な代表争い。1試合の価値が重く、負ければ五輪が遠ざかる。「相手と比べると嫉妬してしまう。でも、相手を認めると楽になる。自分の足りない点が見えてくる。そうすれば自分はもっと強くなれる。だからライバルはありがたく、かけがえのない存在なんです」

 強い心とは、松本さんの代名詞でもある「闘争心」や「負けん気」だけを指すのではない。潔さ。相手を敬い、感謝する気持ち。敗戦から学ぶ姿勢。そんな柔道家の芯に触れた気がした。"野獣"が愛され、輝き続けられた理由は、そこにあると思う。(森合正範)

(2019年2月8日)

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