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新幹線の所持品検査、導入難しく

運賃上乗せ、待ち時間増も・・・海外の保安体制は?

東海道新幹線の客室に設置された防犯カメラ=JR東海提供
東海道新幹線の客室に設置された防犯カメラ=JR東海提供

 走行中の車内で9日、乗客の男が持ち込んだ刃物による殺傷事件が起きた東海道新幹線。「飛行機のように所持品検査を」と求める声も上がるが、日本の大動脈は航空便の25倍を超える乗客を運んでおり、費用や利便性の面で実現は難しそうだ。(中野祐紀)

 JR東海によると、東京-新大阪間を結ぶ東海道新幹線の2017年度の輸送人員は約1億7000万人。一日平均で上下の列車368本が、最も頻繁な時間帯には4分間隔で走る。一方、競合する羽田-大阪(伊丹)、関西空港間の空の便は約650万人だ。

 空港の搭乗口のようにエックス線を使う検査の導入には膨大な設備投資と人件費が必要。JR幹部は運賃が上乗せされ、待ち時間も増えることを指摘。「30分、1時間前に駅に来なければ乗れなくなる。飛行機より不便で現実的ではない」と語る。

 交通コンサルタント会社ライトレール(東京都豊島区)の阿部等社長の試算によると、検査は30秒に1人をさばくとして、東京駅では東海道新幹線だけで80セットの機器が必要。乗客1人あたり1000円程度の費用がかかるという。

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 20年の東京五輪を前に鉄道各社は駅や車内の防犯対策強化を進める。1995年の地下鉄サリン事件、2015年の東海道新幹線内の焼身自殺事件もきっかけになった。東海道新幹線は全駅の改札口を常時撮影する防犯カメラを設置。既存の車両のカメラはドアの出入りを記録するだけだったが、自殺事件以降、客室や通路をほぼ死角なく写すカメラを増設。今回の犯行の様子も写っていた。

 事件は無差別殺傷を狙ったとみられるが、犯人がカメラに写るだけでは抑止できず、国鉄時代に乗務していた鉄道公安官のような警備担当者を増やしても常時監視は難しい。

 阿部社長は多数のカメラを回線でつなぐネットワークを作り、人工知能(AI)で画像を解析するシステムの導入を訴える。不審な人物を検出したり、追跡したりする技術は国内メーカーが開発済みで、必要に応じて係員が急行し、犯行を事前に防ぐこともできるとみる。「プライバシー問題も含めて世論を喚起し、税金も投入して整備するべきだ」と話す。

 海外の高速鉄道の保安体制はどうなっているのか。中国では乗車前の所持品検査を義務づけている。乗客は荷物をエックス線装置に通し、金属探知機で身体チェックを受ける。上海虹橋駅にいた男性(36)は「急いでいる時はイライラするが、どこに危険があるか予測できないから検査は必要だ」と話す。

 切符購入時には身分証やパスポートで本人確認。切符には氏名が印刷され、他人への譲渡を禁じる。改札口で再度、身分証と照合することもある。顔認証システムの導入も始まった。

 「シェンゲン協定」でパスポートなしで往来できる欧州では、2015年に国際特急列車で起きたテロを機に安全の議論が高まった。

 フランスでは16年に公共交通の安全強化策の新法が成立。国鉄などの警備員の武装が認められた。スペインでは長距離路線でエックス線の手荷物検査を導入。英国とフランスなどを結ぶユーロスターでも金属探知機の検査が行われる。

 韓国では16年からソウル、釜山など4駅で保安検査を試験的に導入。通常は挙動不審人物などに限って検査をしているが、平昌(ピョンチャン)五輪の際は主要駅の乗客全員に検査が実施された。

(2018年6月12日)

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