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教室エアコン、地域格差

小中学校の設置率、福井86% 愛知・三重は30%台

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 夏場、教室の望ましい温度は「30度以下」ではなく「28度以下」-。文部科学省が4月、全国の小中学校や高校などの室温基準を約半世紀ぶりに見直し、全国へ通知した。学習環境の改善が狙いだが、普通教室でのエアコン設置率は自治体によって差があり、通知の恩恵を実感できる児童生徒は限られそうだ。

 通知は校内の明るさや騒音の目安となる「学校環境衛生基準」の一部改正を受けた内容で、「10~30度」が望ましいとされていた教室の温度が「17~28度」に変更された。ただし、基準に拘束力はないため、努力目標だ。

 1964(昭和39)年にこの基準ができてから、室温が見直されるのは初めて。背景には家庭でのエアコンの普及がある。同年当時は1.7%にすぎなかったが、現在は9割超。文科省の担当者は「昔は暑さにさらされるのが当たり前だったが、子どもを取り巻く温度環境は変わった」と話す。

 ただ、文科省が実施した都道府県ごとの調査では、公立小中学校の普通教室のエアコン設置率は、昨年4月1日時点で49.6%と半分にも満たない。文科省は設置工事費の一部を補助対象としているが、設置の可否は市区町村が判断するため、自治体間でかなりばらつきがあるのが実態だ。

 設置率が86.5%と比較的高い福井県。中でも福井市は公立中学校23校、小学校50校の全ての普通教室に設置済みだ。2010年の猛暑を受け「快適な学習環境を実現するため」として設置を進めた。室温基準の見直しに市教委の担当者は「既にガイドラインで室温は28度と設定している」と胸を張る。

 一方、愛知、三重両県での設置率は30%台。愛知県大府市では、13ある公立小中学校の普通教室全てで未設置。市教委は学校トイレの洋式化や児童生徒数の増加に伴う校舎の増築などを優先しているとして「保護者からの要望はあるが、予定はない」と担当者。ただ通知を踏まえ「今後、より踏み込んだ対策が必要になれば、設置を検討するかもしれない」と含みも。

 74の公立校がある同県豊橋市でも2.4%で、幹線道路沿いで窓を開けると授業に支障が出る学校や、体温調整が困難な子がいる学級など一部にとどまっている。全1200教室分のエアコン機器購入費は20億円とされ、財政面でただちには整備に踏み切れない側面がある。市教委は全教室の四隅に壁掛け式の扇風機を整備しているが、担当者は通知に対し「扇風機のみでは、まだ暑いことは否定できない。先進事例の調査から始めたい」と話す。

 07年に観測史上最高(当時)の40.9度を記録し「日本一暑い町」として知名度が急上昇した岐阜県多治見市。だが、市立小中学校の普通教室へのエアコン設置率は0%だ。「室温が30度を超える日は数日にすぎない」などと導入に慎重で、17年度末にようやく設置の方針を決めて計画の検討に入ったばかりだ。

 教育総務課の担当者は「世の中の考え方が変化した。学校が災害時の避難所になるという名目で、空調に補助金が下りるようになったのも大きい」と方針を転換した背景を説明する。

 もうすぐ暑い夏。室温の管理は、子どもの健康にも直結する。教育評論家の尾木直樹氏は「温暖化の影響か、暑さが厳しくなる中、温度の見直しは当然。文科省は見直しを通知するだけでなく、教室のエアコン設置についてももっと予算を割くべきだ」と指摘する。

(2018年6月10日)

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