コンビニ業界、宅配強化

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運輸会社とタッグ 弁当など宅配

 コンビニが運輸会社とタッグを組んで宅配サービスを強化している。最大手のセブン−イレブン・ジャパン(東京)は、弁当の宅配や買い物代行をセイノーホールディングス(HD、岐阜県大垣市)に委託。買い物に負担を感じる高齢者ら「買い物弱者」は今後も増えることから、配達を外注してきめ細かなサービスを充実させる。(石原猛)

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 「こんにちは。お変わりありませんか?」。昼下がり、三重県桑名市の安井清文さん(66)の自宅を、セブン−イレブンの制服を着た女性が訪れた。手にはお弁当や洗剤が入ったレジ袋が2つ。安井さんは「暑いでかなわんけど、元気やわ」と応じて受け取った。

 この女性は、セブンの宅配を専門で請け負うセイノー子会社のジーニー(東京)のパート従業員だ。軽自動車を使って、桑名市内のセブン5店舗から、宅配用の弁当や店の商品を1日30軒ほどに届けている。

 送料は500円以上の買い物であれば無料で、必要なモノがあるかどうか「ご用聞き」も手掛ける。サービスを毎日利用するという安井さんは「弁当は日替わりで飽きない。独り暮らしなので、もし倒れていたら気付いてもらえる」と話す。

 セブンでは従来、店舗オーナーらが配達していたが、店によっては需要に応じきれないケースも出ていたという。桑名市内で3店舗を営む山路元一さん(63)も、元々は自分や妻らが1日に3〜4時間ほどかけて弁当などを配っていたが、昨夏から委託に切り替えた。「私自身が昼間、自由に使える時間が増え、工場や地域に弁当を売り込む営業をしやすくなった」と語る。

 一方、セイノーは企業間物流が主力だが、「国内の製造業が海外に移転して荷物の総量が減っており、少ないパイを奪い合う状況」といい、個人向けの配送に事業の幅を広げる。現在はセブンの東海3県の15店舗のほか、石川や広島など8都県の200店舗で先行実施しており、2019年2月末までに全店舗の15%に当たる3000店舗に拡大する。

 運輸業界は人手不足が課題だ。ジーニーの林稔執行役員は「大きな荷物を扱う長距離ドライバーは主に屈強な男性で、人手確保が難しい」としながらも、「今回のサービスで運ぶのはコンビニで買い物をする程度の小さな荷物。主婦やシニア層など、運輸業界で活躍の場が少なかった人たちを積極活用していく」と話す。

 現在、全国で約60人の宅配スタッフがおり、その7〜8割は女性だ。コンビニは商圏が狭く、配送エリアは大半が店から数100メートルの範囲に限られる。高齢者らが主な顧客で再配達のリスクも小さく、主婦でも配達の負担は比較的軽いという。

 経済産業省の推計では、買い物弱者は全国で700万人に上る。今後もさらに増える見通しで、コンビニ各社は対策を急ぐ。ローソンは岐阜市など全国の約60店舗で、弁当などの宅配を実施。このうち東京都内の20店舗では、佐川急便の親会社、SGホールディングス(京都市)と提携し、店舗からの配送を共同出資する子会社に委託する。

 ファミリーマートも高齢者向けの宅配弁当を手掛けるシニアライフクリエイト(東京)が、愛知県岡崎市など全国の10市区で、買い物を代行して宅配弁当を届けるサービスを手掛ける。

(2017年8月16日)

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