PTAにボランティア制を導入

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「できる活動」選び参加

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 子どもたちの学校活動を支えるPTA。しかし、共働き家庭が増えるにつれ、「役員になるよう強制される」「活動が多い」などと、負担感が重いことを訴える声が聞かれるようになってきた。そんな中、活動ごとに参加者を募るボランティア制を導入した小学校がある。「やらされている感」を解消したことで、組織が活性化している。(今川綾音)

 PTAのボランティア制を導入したのは東京都大田区立嶺町(みねまち)小学校。導入して本年度で3年目を迎えた。児童数は762人(4月現在)。学校として地域行事に積極的に参加、保護者も学校教育に高い関心を持つ。PTA活動はこれまで専業主婦や自営業の保護者らが自発的に担ってきた。しかし共働き家庭が増え、仕事をしながら活動することを負担に感じる保護者も増え、年度替わりの保護者会で委員決めに難航する学級も目立った。

 ボランティア制導入のきっかけは、「組織を簡素化しよう」と2013年度にPTAが行った保護者アンケート。母親が専業主婦、パート、フルタイムと3分の1ずつで、活動できる時間帯がバラバラだったことが分かった。

 活動できる時間が異なる保護者が、負担を少なく、不公平を感じずにPTA活動をするにはどうしたらよいか。その答えが「できるときに、できることを、できる人がやる」ボランティア制への移行だった。

 広報や校外活動など6委員会からなる委員会制を廃止。組織名も「楽しむ学校応援団 嶺小PTO」に変えた。今年3月末までの2年間、団長を務めた玉川広志さん(43)は「年度替わりに委員を選ぶ『苦痛の保護者会』がなくなった」と話す。

 ボランティア制は、従来のPTA本部に代わる「ボランティアセンター」が中心となり、活動ごとにチラシやメールマガジンで参加者を募る方式だ。活動に関わりたい保護者はあらかじめ「サポーター」に登録、ホームページなどから申し込む。

 定員に達しない場合、ホームページなどで再募集したり、人数を見直したりする。昨年度は22の活動に計約600人を募集し、滞りなく運営できた。

 保護者の自主性が頼りの新制度が、なぜうまくいったのか。玉川さんは「参加したくなる活動にしたことが成功の鍵だった」と振り返る。「活動が楽しそうなら人が集まるはずだ」と考え、広報に力を入れた。入学式で紹介するPTO活動の動画を楽しさが伝わるよう編集したり、保護者のデザイナーに頼んで魅力的な活動のポスターを作ってもらったりした。

 3年前に引っ越してきた保護者の女性(40)=パート勤務=は運動会の会場整理などの活動をした。「前の学校では負担を感じながら活動していた。ここでは自分から積極的に関われる。みんなが気持ちよく貢献でき、理想の形だと思う」

 玉川さんは「PTAは負担というイメージをなくし、みんなが少しずつ関われる場づくりがうまくいった。より気持ちよく参加してもらうため、少しずつ改良している」と話す。

 PTAに詳しい文化学園大の加藤薫教授(日本文化論)は、同小の試みについて「改革を進めた当時のPTA会長の強いリーダーシップと、教育への関心が高いという地域の特性がうまくかみ合った事例。やりたい・できる活動に絞り込んだ点と強制をなくした点は他校も目標にできるのでは」と話している。

(2017年5月12日)

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