火口の温度、遠隔測定成功

トピックス一覧
<< 前の記事 次の記事 >>

名大が手法確立、噴火予知に期待

図

 近づくことが難しい活動中の火山の火口付近の噴煙の温度を離れた場所で測定する手法を、名古屋大環境学研究科の角皆潤(つのがいうるむ)教授、中川書子(ふみこ)准教授らの研究グループが確立した。既に桜島(鹿児島県)で測定に成功しており、火山の状態把握や大規模噴火の予知につながると期待される。研究成果は米科学誌電子版に掲載された。(坪井千隼)

 噴煙は水蒸気を多量に含む水素ガスで、温度が高いほど、ガスに含まれる「重水素同位体」の比率が高まることが知られている。研究グループは、ガスが急速に冷却、拡散されても、この比率がほとんど変化しないことに着目。比率を調べることで、離れた場所で採取した噴煙でも火口付近の温度を測定できると判断した。

 グループは2014年9月と12月の2回、軽飛行機で桜島の火口から約5キロの上空で、噴煙を採取。火口付近の噴煙の温度を930度以上と確認した。角皆教授によると、火山のマグマの温度は1000〜1100度程度で、当時の桜島は、マグマが火口直下まで迫っていたと推測できるという。

 一般に火口付近の噴煙が高温なほど噴火の恐れが高まると考えられるが、正確に温度を測定する方法はこれまで確立されていなかった。今回の手法を使えば、原則としてどんな火山でも火口付近の噴煙の温度を調べることができ、データの蓄積が進めば高い精度で噴火を予知できる可能性がある。角皆教授は「火口の(噴煙の)温度は火山の状況を把握する非常に重要な情報の1つ。観測で防災に役立てることができる」と語った。

重水素同位体 水素原子とよく似た性質を持つが、原子核が陽子1個の水素原子に対し、陽子1個と中性子1個からなる。自然界では通常、水素原子2個が結合して水素分子ができているが、ごく一部で水素原子が重水素同位体に置き換わっている。

(2016年12月5日)

前 << 大須で「ビルエンナーレ」 カラスのごみあさり、防ぐ知恵 >> 次