ビタミンなど栄養価に差も 下ゆで→冷凍保存がお勧め
野菜には「旬」があるが、店頭に並ぶ"顔ぶれ"は1年中あまり変わらない。温室栽培などが普及した結果だが、旬とそれ以外では栄養価は変わるのか。実験をした女子栄養大の辻村卓教授(生物有機化学)に教えてもらった。 (杉戸祐子)
「ホウレンソウとブロッコリーで特に変動が大きかった。一般的に旬にはビタミン含有量が多くなった」。辻村教授は1985年から15年間、研究室の学生らと野菜の栄養価を分析した結果をこう総括する。
調査対象の野菜約40種類を首都圏の5カ所の店舗で毎月購入し、食べられる部分100グラム当たりのビタミン(カロテン、ビタミンCなど)とミネラル(カルシウム、鉄など)を測定した。一般的に店頭に並ぶ野菜を調べたため、時期によって露地やビニールハウスなど栽培方法は異なる。
辻村教授は全体的な結果を「土壌成分の影響を受けるミネラルに比べ、光合成の影響を受けるビタミンの変動が大きかった」と説明する。顕著な変動を見せたホウレンソウの主な栄養素はカロテンだが、最も多い5月には、最も少ない3月の2.6倍となった。ビタミンCが最多だった2月は最少の7月の8.1倍と、同じ野菜でも栄養価が大きく変わった。
ブロッコリーでは、カロテンが最多だった3月は最少の8月の4.1倍。ビタミンCも2月には8、10月の1.9倍に。
このほかジャガイモのビタミンCの4.2倍、トマトのカロテンの3倍、ニンジンのカロテンの2.5倍などが目立った。
逆に変動が少なかったのはセロリとピーマンだけだった。辻村教授は「ほとんどの野菜は旬に充実した栄養価を持ち、旬以外の時期には数分の一の栄養価しかない場合が多い」と分析。「旬とそれ以外では、見た目は同じでも中身は別の野菜」とその大きな違いを強調した。
この結果を一般生活に生かすため、値段が安く栄養価も高い旬の野菜を多く取るようにしたい。さらに辻村教授は「旬以外の時期には、旬の時期に買って下ゆでするなどして冷凍保存した野菜を食べて」と提案。同教授の調査では、冷凍保存による栄養価の減少は1、2割にとどまるからだ。
家庭でできる栄養価をキープするための野菜冷凍法を、ベジタブル&フルーツマイスターの小林かおるさんに聞いた。共通する注意点は▽野菜の水分をふき取る▽小分けにする▽庫内温度を下げてアルミトレーを敷き、できるだけ急速冷凍する−など。「冷凍期間が長くなると、風味や食感が落ちる。なるべく早く食べて」と小林さん。
ホウレンソウやブロッコリーは固めにゆでて水気を絞り、1回分ずつラップに包んでジッパー付きの袋に入れて冷凍。ジャガイモは下ゆでしてつぶしてペースト状にして冷凍し、ポテトサラダやスープに使う。
トマトは丸ごと冷凍可能だが、生食には向かない。凍ったまま流水をかけると皮がむけるので、その後は加熱調理する。ニンジンは適当に切って固めにゆでるか、千切りして塩でもんで冷凍する。
(2010年3月15日)
