孤立感抱える女性、支援と正しい知識が必要
2月16日掲載の「ねぇねぇちょっと」で、「不妊の原因が夫かもしれない」と、夫婦関係に悩む妻からの投稿を紹介したところ、多くの反響が寄せられた(2日掲載)。不妊治療中の支援の大切さなどを、愛知県不妊専門相談センターの医師とカウンセラーに聞いた。 (野村由美子)
「不妊治療中に夫との関係に悩む人は多い」と話すのは、愛知県不妊専門相談センターのカウンセラー塩見明美さん。
相談電話で、これまでの治療内容などを聞くうちに、夫との葛藤(かっとう)を打ち明ける女性も少なくない。「気持ちを理解してくれない」「治療に逃げ腰」などと訴える女性のほか、不妊の原因が夫の側にあることが分かったことをきっかけに、それまでのつらい気持ちが押さえきれなくなって、爆発する人もいるという。
「孤立感を抱えている女性は多い。電話相談でつらさをはき出し、夫と向かい合う方法を一緒に考えられたら」と塩見さん。「子どもがいて一人前」「跡継ぎが必要」といった周囲の価値観やプレッシャーに女性が傷つくケースも目立つといい、塩見さんは「周囲の人たちは、夫婦が決めることを第一に尊重してほしい」と話す。
同センターがあるのは、名古屋大付属病院内。センターの代表で、名古屋大産婦人科の岩瀬明医師は、女性たちの悩みの背景に不妊治療の持つ特殊性もあるとみる。
不妊治療の場合、治療や検査を受けるのは、どうしても女性が中心。卵管造影など体に負担のかかる検査があるうえ、近年広がった体外受精や顕微授精では排卵誘発剤が使用され、通院頻度も増す。採卵のために卵巣に針を刺す必要なども出てくる。
岩瀬医師は「不妊症の原因は男女半々と言われているのに、女性側だけに負担が偏っている。だからこそ、治療開始の時点から、夫婦共通の問題として臨んでほしい」と強調する。一般的に夫側は不妊の知識が乏しい。妻との温度差が生まれやすいだけに、夫への精神的な支援も必要だ。
「不妊治療をすれば必ず子どもが授かる」という成功例の情報しか知らないと、うまくいかなかったときに追い詰められる。決して高くない妊娠率や出産率も含め、正しい知識を夫婦で共有することが大切。「不妊治療は出口のないトンネルとよく言われますが、知識がトンネルの明かりになれば...」と、岩瀬医師は話している。
各県の不妊相談センター電話番号
愛知 052(741)7830
岐阜 058(389)8258
三重 059(211)0041
静岡 055(991)2006
長野 0263(35)1012
滋賀 077(548)9083
福井 0776(54)0080
石川 076(237)1871
富山 076(424)1531
(2010年3月10日)
