女性医師支援の取り組み

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柔軟雇用で離職に歯止め、医師不足改善に期待

診察室で看護師と打ち合わせをする河野医師(左)=福井市の福井済生会病院で
診察室で看護師と打ち合わせをする河野医師(左)=福井市の福井済生会病院で

 病院の育児休業などへの取り組みが遅れる中、女性医師の復職研修や短時間勤務の導入など積極的な支援に取り組む病院も出てきた。女性が働きやすい環境をつくることが、医師不足の改善につながるという期待がある。 (境田未緒)

 福井市の福井県済生会病院。産婦人科の河野久美子医師(36)は、2歳と1歳の子を育てながら、週4日の勤務を続けている。

 昨年6月から子どもを院内の保育施設に預け、復職研修として外来や検診、手術の助手を務めた。11月からは、短時間正規雇用で当直なしの勤務だ。

 県内外の病院で10年の経験はあっても、出産・育児による2年のブランクは大きい。命を預かる責任の重さから一時は「2度とメスは持たない」と思っていた。しかし、2回目の出産の直前、かかっていた病院で夜中に緊急の帝王切開手術の応援を頼まれ「家族の一番幸せな瞬間」に立ち会う喜びを思い出した。

 済生会病院は医師になったころの勤め先。2007年、NPO法人「女性医師のキャリア形成・維持・向上をめざす会」(ejnet)が実施する「働きやすい病院」の認定を受けている。

 「働きやすい環境をつくっていただき、踏み出すことができた。ほかの医師に何かあった時は、私もサポートできるようになりたい」と河野医師は語る。

 産婦人科では現在、育児休業中の1人も週1回、外来を担当している。4月からの復帰後は短時間勤務に就く。河野医師らの姿を見て、初期研修中の女性2人が後期研修医として同科に入ることを決め、同科の医師数は4月から9人に。里見裕之産婦人科医長(41)は「女性医師は優秀で、働きやすければ必ず戻ってくる。週2日の勤務でも助かる。産婦人科志望の女性は増えているが、10年で辞められたら技術を伝承する人もいなくなる」と話す。

 名古屋市南区の大同病院では、6人の常勤医が週4〜5日の短時間勤務で働く。うち1人は持病で当直ができない男性。病児保育もできる院内の保育所は、男性医師も利用している。

 8人中4人が短時間勤務の小児科は「複数主治医制」。副院長の水野美穂子部長(51)は「短時間勤務の医師が昼間の外来や病棟の治療に大きな力を発揮している」と語る。

 夜の当直はできなくても、日曜日の昼間の当直を担う医師もいる。「みんな能率よくレベルの高い仕事をしている。多様な雇用形態を認め、支え合っていくことが大切」と水野部長。「本人のやる気が第一だが、これからは男性の育児参加も考えるなど、雇用者側は意識を変える必要がある」と指摘する。

 ejnetが認定している「働きやすい病院」は全国で13病院。中部地方ではほかに聖隷三方原病院(浜松市)が認定されている。

(2010年3月9日)

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