名古屋にも常設カフェ 科学でちょっと一服はいかが?
コーヒーや紅茶を飲みながら科学の話で盛り上がる−。英国発の新しいスタイルで科学に親しむ「サイエンスカフェ」が各地に広まってきた。名古屋では全国初の常設カフェが人気を集めている。「難しい」と敬遠されがちだった科学が、市民に歩み寄ってきた。 (渡辺泰之)
名古屋駅近くの高層ビル1階に入るモダンなレストラン。昨年6月、全国に先駆けてオープンした常設のサイエンスカフェ「ガリレオ・ガリレイ」だ。
日曜の昼下がり、カフェは約50人の客で満席に。「恐竜の雄雌は分かるのか?」。恐竜研究の第一人者、国立科学博物館の真鍋真さんが、問いかけを交え、恐竜の魅力を語っていく。
毎週日曜に一線の科学者を招く。ノーベル賞候補に名が挙がる飯島澄男名城大教授らも登場した。飲食代1000円(大人)を払えば、ドリンクとともに科学の最前線に触れられるとあって盛況だ。3D映像で宇宙を体感できる常設コーナーもあり、普段も楽しめる。
科学者らが不定期に開くカフェが一般的だが、異色の常設カフェは、最先端の科学技術を社会に伝える事業を手がける企業、ナノオプト・メディア(名古屋市)が経営する。社長の藤原洋さん(55)は、名古屋での開店について「ノーベル賞受賞者を相次ぎ輩出し、ものづくり企業も集まるホットスポット。理科離れが叫ばれる中、一般の人に純粋な知的好奇心を持ってほしい」と語る。
そもそもサイエンスカフェとはどういうものか。事情に詳しい名古屋大高等教育研究センターの斎藤芳子助教(科学技術社会論)によれば、フランスで始まった「哲学カフェ」をヒントに、1998年に英国・リーズでテレビプロデューサーが科学版を始めたのが起源。「講義」ではなく、科学者と市民がお茶を飲みながら対等に議論するスタイル。参加者も30人程度が基本で、気軽さから世界に広がった。
日本では2004年に科学技術白書で英国の活動が紹介され、各地で大学やNPO法人が開催し始めた。現在、全国で100を超えるサイエンスカフェが活動しているとみられる。
東海地方でも大学を中心に取り組みが盛んになってきた。名古屋市立大はシステム自然科学研究科の教授らが中心となり、06年から開催。会場を街中の喫茶店とすることにこだわる。森山昭彦教授は「興味を持ってもらうには学外に出なくては。関心がない人もふと足を止めるきっかけになる」と話す。
名古屋大の教員が中心となった「カフェシアンティフィーク名古屋」や「名大サロン」等も活発だ。さらに新しいカフェを名古屋大キャンパス内に今春にもつくろうと、1月には若手研究者が「プレカフェ」を催して盛り上がった。
活発化する動きにアドバイスするのは斎藤助教。「現状では『先生』から話を聞く『講演』になりがち。大学や研究者からのアプローチだけではなく、市民のイニシアチブも大切だ」と指摘。「(サイエンスカフェは)文化をつくっていく運動。ゆっくりと根付いていけばいい」と話す。
(2010年3月6日)
