労働時間の短縮で ダンスに夢中
ロックやポップ音楽のリズムに合わせ、銀色の細い柱に手足を絡ませてくねくねと踊る「ポールダンス」。欧米や日本で新たな美容体操として注目される中、パリでは20〜30代に加え、40〜50代の女性の人気も集めている。背景には景気低迷による労働時間の短縮がある。
肌もあらわなタンクトップにショートパンツ、極端にかかとの高いピンヒール姿。ナイトショーのイメージも強い踊りだが「ここにはショーダンサーを目指す人はいないのよ」。4年前にパリ市内で最初の本格的なポールダンス教室「アーツストリップ」を始めたビオレタ・カルポンティエさん(33)が強調した。
1年目の受講生はわずか15人だったが、年々増加し、今では200人に。全員が女性で20代と30代が半数を占めるが、40代と50代も合わせて3割いる。
「どこも仕事帰りの人が大半だから」と事務のグレゴリー・エニオンさん(33)。「特に一昨年秋の金融危機から受講生が増えた。民間企業で残業が減っているのが大きい」と分析する。
フランスでは法定労働時間が2000年から週35時間に短縮されている上、金融機関の調査では、昨年の企業の残業時間は前年比7%減。従業員2000人以上の大企業では生産調整などで残業が平均13%も減少した。
そこで夕方と夜のスポーツや習い事に人が集まるというのが、エニオンさんの見立てだ。国立統計経済研究所の調査ではダンスだけでも女性の10人に1人が「習ったことがある」と答えている。
さらに「年を重ねても恋心を忘れないパリジェンヌ気質がセクシーなポールダンスの人気につながっている」と報じたのは、国営フランス2テレビ。50代の女性のうち年下の男性と恋に落ちる人の割合は、1990年の調査で11%だったが、今年は16%に上昇。特に自分の息子ほど年の離れた男性を好む女性が増えていて、「肉食女子」ならぬ「クーガー」(ピューマ)と呼ばれているという。(パリ・清水俊郎、写真も)
(2010年3月5日)
