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いつも折田克子さんに甘えている愛猫の「チョン」。高齢でもジャンプは得意=東京都内で
いつも折田克子さんに甘えている愛猫の「チョン」。高齢でもジャンプは得意=東京都内で
プロフィール

 おりた・かつこ 舞踊家、振付師。舞踊家の母・故石井みどりさんに師事し、11歳で初のリサイタル。現代舞踊の第一人者に。1997年、東京新聞制定「舞踊芸術賞」受賞。2003年に紫綬褒章、09年旭日小綬章受章。毎夏、台湾の国際ダンスフェスティバルに参加するなど精力的に活動。


折田克子さんとチョン 猫(メス 15歳)

野性的な動きを
ほれぼれ眺める

 70年以上舞台に立ち続ける現代舞踊家折田克子さん。2008年に他界した母から受け継いだ「石井みどり折田克子舞踊研究所」を主宰している。

 高い天井の歴史あるスタジオは、ふだんは生徒たちの熱気にあふれているが、取材の日は稽古が休み。すると飼い猫の「チョン」が、がらんとしたスタジオの真ん中へ歩いていき、長々と手足を伸ばして座った。この広い場所を独り占めするのが気持ちいいようだ。

 「チョンがこんなふうにスタジオに来るのは珍しいんですよ。子猫の時から恥ずかしがり屋で、弟子たちが呼んでもなかなか入ってこないんです」

 チョンは、先代のチョン(本名のチョモクリンを短くした愛称)にあやかって名付けられた2代目。「初代は人が大好きなオス猫で、稽古が終わるやいなや入ってきて、愛嬌(あいきょう)を振りまいていました。ほかにも犬や猫が数匹いましたね」

 今のチョンは、スタジオの裏で見つけた子猫。当時の飼い猫ミミについてきたらしい。この辺ではノラ猫が多くて、生徒たちとよくご飯をあげていたという。

 その後、先輩猫は亡くなり、チョン1匹だけになった。

 「母のことが大好きで、いつも後を追いかけて歩き、晩年もそのベッドのそばを離れませんでした」

 今はいつも折田さんにくっついて歩いている。体をスリスリして、高い声で「ニャオーン」と話しかけるように鳴く。

 「いろんな声で、しゃべるように鳴くんです。長いこと一緒に生活してきたので、鳴き方も人間ぽくなってきたんでしょうか」

 高齢のため、もう歯はほとんどないそうだが、食事の好みは頑固で、「シラス・カツオ味」のフードしか食べない。他のものに変えると、ハンストしてしまう。

 歩き方もしっかりしていて、階段を駆け上がったり、ジャンプしたり。折田さんの肩にも上ってくる。数年ほど前、ジャンプしようとしたチョンが滑っているのを見て、上りやすいように爪を切るのをやめた。

 そのせいで折田さんの腕にはひっかき傷が絶えないし、服も頑丈なベストを常に着用するように。だが、そんなことより、愛猫が愛猫らしくいることの方が大切なのだ。

 「チョンの魅力は、そのジャンプ力、スピード感、柔らかい筋肉。ときおり見せる野性的な動きが素晴らしいですね。人間もかつては同じものを持っていたはずと、ほれぼれ眺めています」

 チョンの元気の秘訣(ひけつ)は、飼い主と同様、その身体パワーにあるようだ。

(文・宮晶子、写真・平野皓士朗)