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まるで宮路オサムさんの心が分かっているかのような愛犬のまる九=東京都内で
まるで宮路オサムさんの心が分かっているかのような愛犬のまる九=東京都内で
プロフィール

 みやじ・おさむ 茨城県北茨城市出身。1967年、「殿さまキングス」のメンバーとして活動開始。メインボーカルとして73年にリリースされた『なみだの操』は爆発的なヒット曲に。殿さまキングス解散後もソロ歌手、作詞、作曲、俳優業など幅広く活躍中。

宮路オサムさんとまる九 ロングコートチワワ(メス 8歳)

巡り合えた運命
わが家で幸せに

 歌手の宮路オサムさんの手首には、赤いひもがしっかりと結ばれていた。愛犬のロングコートチワワのまる九(こ)の足にも同じ赤いひも・・・。宮路さんと出会うまでの“犬生”は波瀾(はらん)万丈だったが、やっと“赤い糸”で結ばれた。

 「あくまでも推測ですが、まる九は数年前まで救助犬としてほかの警察犬などと一緒に訓練され、時には大型犬に進む方向を命令するような立場だったようです」

 宮路さんが見せてくれた若き日のまる九の写真には、大きなシェパードの頭上で、あたかも命令をしているかのような立派な姿が見られた。

 「まる九は札幌生まれですが、救助犬の活動を引退してからは、どうやら沖縄に、もらわれていったらしいです」

 日本を縦断し、第2の犬生を送るはずだったが、引き取り先の人が高齢で世話ができなくなり、次の居場所を求めていた時、巡り合った。

 「飼っていたロングコートチワワのチョコが亡くなった後で、僕たち夫婦が悲嘆にくれていた時のことでした」

 こうして初めてまる九が家に来た日、彼女は宮路さんをしっかり見つめて「よろしくお願いします」と礼儀正しくあいさつをしたような気がしたという。以後、無駄ぼえもせず、聞き分けもよく、ご主人様を立派に守り続けている。

 「例えばお酒を飲んだ後でお風呂に入ると、入り口までついてきて、外でじっと見守っている。僕が無事に風呂から出ると、安心したかのようにいなくなる」

 宮路さんが床に就くと寝室にやってきて見守り、寝入ったのを見届けて、部屋を出ていくのが日課でもある。

 「まる九は、僕たちの心も分かるみたいです」

 かつて宮路さんが多忙で、まる九の散歩を渋り、妻と口論をしたことがあった。それを察知したまる九は、大好きな散歩に行こうとせず、外に連れて行っても、そそくさと家に戻り、「お疲れでしょうから、ご無理なさらないで」というような顔で宮路さんの顔を見上げた。

 それには宮路さんも参ってしまった。

 「訓練を受けていた時も大変だったと思いますが、その後も苦労を重ねてきたのでしょう。今、うちに来て、幸せに思っているならば、僕たち夫婦も本当にうれしい」

 宮路さんはまる九がきてから、特に万物に対して命の尊さを感じるようになったという。昨年リリースしたCD『一万八千五百日』では、青春時代から今まで生きた日数を歌い、カップリング曲の『いのち』は、まる九との暮らしから受け取った、いとしきものへのあふれ出る愛を心を込めて歌っている。

(文・宮西ナオ子、写真・圷真一)