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“一人娘”として、鈴木豊乃さん一家を見守り続けている桜=東京都内で
“一人娘”として、鈴木豊乃さん一家を見守り続けている桜=東京都内で

プロフィール

 すずき・とよの 浜松市出身。国立音楽大卒、同大学院作曲専攻修了。アーティストのコンサートアレンジを多く手がける一方、幼児向けのピアノ作品や教本を多数著述、今年『簡単! 楽しい! おうちでできる音楽&リズムあそび』(ヤマハミュージックメディア)を発売。

鈴木豊乃さんと桜 ★トイプードル(メス 8歳)

大切な「一人娘」
見守り見守られ

 8年前に父親から、かわいいトイプードルをプレゼントされた。音楽家の鈴木豊乃さんは「私の息子の中学受験と合格のご褒美。父は趣味でイングリッシュセッターのブリーダーをしていたこともあり、犬に詳しく、元気で利口な子を選んでくれました」。

 受験の合格祈願のために通った近所の神社は、日本神話に登場する女神の木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)を祭っており、ご神木が桜。しかも「合格=サクラサク」といわれるし、受かった学校の校章が桜だったので、「桜」と命名。桜は2年後、めでたく結婚の運びに。鈴木さんお手製のかれんなウエディングドレスに身を包み「結婚式」を挙げることになった。

 「相手は1歳年下のハンサムなプードル。お似合いのカップルでしたよ(笑)」

 やがて桜は妊娠し、エックス線で4匹の赤ちゃんが確認された。鈴木さんは、無事生まれた赤ちゃん1匹1匹にリボンをつけて識別し、毎日体重を量り、40日間密に暮らした。また、母犬子犬共にモーツァルトの音楽を聴かせることも忘れなかった。

 「桜の母性本能は強く、けなげなほどでした。赤ちゃん犬をしっかり守って母乳を与え、産箱(さんばこ)から出てこないことさえありました」

 子犬たちはすくすくと大きくなった。ある程度のところまで成長すると桜は子離れの儀式を行い、時に厳しく振る舞うようになった。やがて、子犬たちは新しい家族の元に旅立つ日を迎えていった。

 「それは、見ていて気の毒なほどで、切なかった」

 桜は1匹いなくなるたびに家中を捜しまわり、最後の1匹がいなくなった時は気が狂ったようになって、子犬の姿を捜し求めていたという。

 桜の出産から子育ての時期は、家族にとって、宝物ともいえる日々となった。アルバムには結婚式、交尾、出産、赤ちゃんの成長の撮影記録が残されている。

 「この時期、なるべく家を空けないように留守番のローテーションを組んで、家族一丸となって桜親子を見守りながら過ごしました。犬の育児を見ていて、人間が学ぶことがたくさんありましたね。充実した40日間を経験できたのも、桜のおかげ」

 現在、桜の子たちは、それぞれにもらわれていった先で幸せに暮らしている。桜は出産後、避妊をしたが、鈴木家の大切な“一人娘”として、母性愛全開の日々を送っている。

 「いつも桜に見守られているから仕事がはかどります」と鈴木さん。ますます、すてきな作品が生み出されていくことだろう。(文・宮西ナオ子、写真・安江実)