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カブ(上)とサリーはきょうだい。「夜、居間で一緒に居眠りします」と児玉真二さん=東京都内で
カブ(上)とサリーはきょうだい。「夜、居間で一緒に居眠りします」と児玉真二さん=東京都内で
プロフィール

 こだま・しんじ 1964年、東京生まれ。映像技術会社勤務を経て、91年に劇団新派へ入団、故菅原謙次さんに師事。2005年に幹部昇進。11年、日本俳優協会奨励賞受賞。年間を通して舞台に立つ。公演情報は劇団のサイトで(名称で検索)。

児玉真二さんとサリー、カブ ★猫(メスとオス、いずれも10歳)

まじない効果!?
迷子が無事帰宅

 新派の舞台で活躍する俳優の児玉真二さん。お宅におじゃますると、最近買ったばかりという大きなキャットタワーに、愛猫「サリー」と「カブ」がいた。メスのサリーは人懐こい様子だが、オスのカブはすぐ隠れようとする。

 「カブは小さいころから怖がり。うちに来たばかりのころ、なでようとした母の手をカプッとかみ、そこが腫れてしまいました。それが名前の由来。カブはアニメ『魔法使いサリー』の弟分なので、じゃあメスはサリーちゃんだねと」

 カブとサリーは保護猫5匹きょうだいのうちの2匹。新派の大先輩俳優、水谷八重子さんが3匹を引き取り、2匹を児玉さんに託したのだ。

 「当時うちにはジュニアという15歳の猫がいて、高齢であまり動かなくなっていました。子猫が来れば、いい刺激になるかなと思って」

 期待通り活発な子猫たちに影響され、ジュニアも一緒に追いかけっこをして遊ぶように。その後3年以上も元気に過ごした。最期の夜、児玉さんの母の布団に入ってきて眠るように息をひきとった。

 後を継いだサリーとカブはよく食べ大きく成長した。

 児玉さんの家は商店街の一角にあり、1階で家族が電器店を営んでいる。サリーは店で客に愛嬌(あいきょう)をふりまいた。一方のカブは相変わらず人見知りだったが、きょうだい仲良く暮らしていた。

 そこへ東日本大震災が起こった。パニックになったサリーが2階の窓から商店街のアーケードにとび移り、行方不明になってしまったのだ。

 「いつも落ち着いていたサリーがまさかの行動でした」

 近所にチラシをまいて捜したが見つからない。猫に詳しい知人から、迷い猫が帰ってくるおまじないを勧められた。猫の愛用の食器を伏せて置き、その下に小倉百人一首の中の中納言行平(ちゅうなごんゆきひら)の歌「立ち別れ いなばの山の 峰に生(お)ふる まつとし聞かば 今帰り来む」を短冊に書いて置き、唱えるというもの。

 祈るような気持ちで試してみると、翌日サリーが窓からひょっこり戻ってきた。震災から5日目のことだった。

 「おそらくアーケードづたいのお宅で保護されていたのでしょう。チラシを見て、屋根に戻してくれたのでは。母はおまじないのおかげだと信じていますが・・・」

 以降ますます家族に大事にされているサリーとカブ。キャットタワーの横に置かれたかわいい食器には、いつも大好きなフードが盛られている。この食器がもう二度とおまじないに使われることにはなりませんように・・・。(文・宮晶子、写真・高嶋ちぐさ)