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作曲家でピアニストの大沢充奈さんと愛犬フローラ=東京都内で
作曲家でピアニストの大沢充奈さんと愛犬フローラ=東京都内で
プロフィール

 おおさわ・あてな 1990年生まれ、神奈川県出身。武蔵野音大器楽学科ピアノ専修を経て、同大大学院作曲専攻修士課程修了。現代曲を得意とし、作曲活動を手掛けるほか、ピアニストとしてコンサートなどに出演。ピアノ講師として後進を指導。

大沢充奈さんとフローラ ヨークシャーテリア(メス 13歳)

毎晩甘え添い寝
老い見守り共に

 新進作曲家として、またピアニストとして活動する大沢充奈(あてな)さん。全国公開が始まった映画「抱擁」(坂口香津美監督)の音楽とピアノ演奏を担当している。

 映画は昨年の東京国際映画祭にも出品された、老いや介護を題材としたドキュメンタリーだが、若い大沢さんにとっても身近なテーマだ。愛犬フローラとは、2年前入院した祖母に代わり、一緒に暮らすようになった経緯がある。

 「フローラは祖母と10年来、水入らずで暮らしてきましたが、祖母が体調を崩して療養型の施設に入ることになりました。そこで私が祖母の家で、フローラと暮らすことにしたんです」

 神奈川県の自宅から東京都内へ、ピアノとともに引っ越した。

 東京の家ではかつて、祖父が健在だったころ、ゴールデンレトリバーを飼っていた。だが祖父が亡くなると、犬も後を追うように死んでしまった。独りになった祖母に、かかりつけの獣医師が小型犬のフローラを紹介してくれたのだった。

 「フローラは祖母の良いパートナーでした。祖母と一緒に寝るのが習慣でしたので、私もフローラに添い寝するようにしています」

 フローラは毎晩11時になると、押し入れを前脚でカリカリして『早く布団敷いて』と催促する。布団を敷きフローラを寝かしつけ、大沢さんはピアノに向かう。夜中まで作曲に取り組むのが常だが、そのうち待ちくたびれたフローラがやってきて、「早く一緒に寝てよ」とまた催促。今では、すっかり大沢さんに甘えている。

 「明るくて社交的な性格なので、祖母がいなくても私や母に懐いています。言葉はけっこう理解するし、自分のことを話題にされるとすぐ分かるようです。でも音楽は全く認識しないですね。家族がいい音楽を聴いていても、ワンワン鳴いていますし、サイレンの音に同調して声を上げることもありません」

 そんなフローラにも、老いは確実に訪れている。午前中いっぱいは寝て過ごし、遊ぶのは午後だけ。少し前には乳腺腫瘍の手術をした。今は心臓が弱くなったので漢方薬を飲ませている。

 「最近はトイレを失敗することもあります。トイレシーツの所まで行くのが難しくなったのかも。それでも、いつも明るいフローラには長生きしてほしいですね」

 映画音楽では、不安や迷いを経て、前向きになる気持ちを表現したという大沢さん。フローラの晩年も、同じ気持ちで優しく見守っている。(文・宮晶子、写真・高嶋ちぐさ)