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「僕の命の恩人」と愛犬クゥを抱き締める荒井善正さん=東京都内で
「僕の命の恩人」と愛犬クゥを抱き締める荒井善正さん=東京都内で
プロフィール

 あらい・よしまさ 東京都出身。16歳からスノーボードを始める。現在、NPO法人全国骨髄バンク推進連絡協議会理事、公益財団法人日本骨髄バンク地区普及広報委員など。重い病気を乗り越えた体験などを語る「活(い)きるを伝える」講演会の講師として活躍中。

荒井善正さんとクゥ トイプードル(オス 8歳)

闘病支えた恩犬
いつか雪遊びを

 「クゥは命の恩人です」

 軽快に跳びはねるクゥを真ん中に、妻育子さんと散歩を楽しんでいたプロスノーボーダー荒井善正さんが、しみじみと漏らした。

 「慢性活動性EBウイルス感染症」という重い病気で7年前に骨髄移植を受け、2年をかけて元気になった。

 「10年ほど前から、原因不明の足の痛みやまひ、発熱などに悩まされていました。そんな中、クゥと出会ったんです」

 病名すら分からず、体調も不安定な時期だった。それでもスノーボーダーとして奮闘していた。そんなある日、スノーボードを買う前に、訪れたショッピングモールのペットショップで、出会ったのがクゥだった。

 次の用事が控えていた。目的地へ向かおうと、車に乗り発進した。ところが…。

 「待って。やっぱり、あの子を置いていけない!」

 同乗していた育子さんの言葉で、二人は迷わず引き返し、クゥを連れ帰ったのだ。

 当時、まだ結婚していなかったので、とりあえず育子さんの自宅で飼うことに。以後、クゥを交えたデートが続いた。

 その後、度重なる検査入院の末、荒井さんは重い病気と診断された。もし骨髄移植をしなければ、余命2、3年という宣告を受けたのだった。

 「なぜ僕が、そんな病気に! 骨髄移植をしようにもドナーがなかなか見つからない。移植の成功率も50%だと」

 絶望のふちから荒井さんを救い上げたのが、スノーボード仲間たちだ。「移植手術費用を援助する基金創設のほか、ブログでも応援してくれました」

 もちろんクゥと育子さんの存在も、荒井さんの生きる希望になった。

 「入院中はクゥに会うことができません。動画を送ってもらって成長の様子を見るのが楽しみでした。体調が良くなり、一時的に退院できればクゥに会えると思うと、頑張ることができました」

 社会復帰後に育子さんと結婚。

 「彼女の実家では、娘はやるけど、クゥはおいていけと言われました(笑)」

 育子さんの実家近くに住みながら、全員でクゥを大切にしている。「僕の闘病中、全員がクゥに癒やされていましたから」

 骨髄移植の大切さと、スノーボードの普及活動という二つの夢を実現するため、「SNOW BANK PAY IT FORWARD」という団体を立ち上げ、講演活動に力を注いでいる。

 「いつかクゥと一緒に、ゲレンデで遊びたいな」

 夢は大きく広がる。(文・宮西ナオ子、写真・圷真一)