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打ち解けると、実はフレンドリーな「パトラ」と伊藤さん=東京都内で
打ち解けると、実はフレンドリーな「パトラ」と伊藤さん=東京都内で
プロフィール

 いとう・ゆみ 東京生まれ。名古屋育ち。銀座に「クラブ由美」を30年間以上経営し、幅広く活躍。近著に「スイスイ出世する人、デキるのに不遇な人」「粋な人、無粋な人/自分では気づかない恥ずかしいこと」。

伊藤由美さんとパトラ 猫(メス 3歳)

被災猫が産んだ
フワフワ雪の精

 東京・銀座に高級クラブを構える伊藤由美さん。都心の自宅を訪ねると、優雅なインテリアに囲まれ、お姫様のような愛猫「パトラ」がいた。

 雪の精のように白いフワフワの毛をまとい、透き通った大きな目で筆者を見つめる。その名は、あの古代エジプト女王「クレオパトラ」からいただいた。

 最初はカーテンの陰に隠れてしまったパトラ。「気位が高く、下手に手を出すと、かみつかれるかも」と伊藤さんも気を使う。だが30分もすると打ち解けてきた。筆者の足元にすり寄り、おなかを出してゴロン。意外に親しみやすいお姫様だ。

 東日本大震災の被災猫から生まれた子猫だった。

 「震災から数週間後、被災ペットを保護しようと、女優の杉本彩さんと一緒に宮城県まで車で向かったんです」

 杉本さんは熱心な動物愛護活動家でもある。伊藤さんも友人として付き合ううちに、活動を手伝うようになった。被災地で猫を6匹預かり、東京へ連れ帰ったが、メス猫が子猫を出産。その1匹がパトラだった。

 「保護されたオス猫と、いつの間にか交尾してしまったようです。幸い母猫も子猫たちも皆、いい引き取り手が見つかりました」

 伊藤さんの家でもずっと猫を飼っていたが、最後のヒマラヤンが16歳で死に、母は「自分も年なので、もう飼わない」と言っていた。

 だが被災猫のことを知り、引き取ることに賛成してくれた。母が好きな白い猫にしたという。

 伊藤さんは店の仕事のほかにも、エッセーを書いたり、講演で各地へ出掛けたりと忙しい。そこでパトラの世話係は、もっぱら母に。

 「長毛なのでブラッシングは毎日欠かせませんが、前のヒマラヤンに比べれば全然楽だと言ってます。ブラッシングの間、パトラはずっと母の手をなめていて、夜寝る時も母の髪をペロペロ。すっかり母猫代わりです」

 母がパトラに「おやつ食べる?」と声を掛けると、「ゴロニャー!」と返事をし、喜々としてキッチンへ。会話もしっかりできている。

 「パトラの幸せそうな様子を見ていると、引き取って良かったなあと。命の大切さをつくづく感じます」

 伊藤さんが依頼される講演のテーマは仕事柄、ビジネスマンの処世術が多いが、動物愛護についても一言触れる。

 「家庭でペットを迎えるときには、ぜひ保護施設も見てほしい。人と動物の共生こそが、成熟した社会につながると思います」(文・宮晶子、写真・五十嵐文人)