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脚本家・演出家の岡本貴也さんの仕事中は、ずっとそばについているという不二子=横浜市で
脚本家・演出家の岡本貴也さんの仕事中は、ずっとそばについているという不二子=横浜市で
プロフィール

 おかもと・たかや 1972年生まれ。神戸市出身。早稲田大大学院理工学研究科修了。脚本家として、舞台、映画、ドラマなど多くを執筆。人気作品に「朗読劇 私の頭の中の消しゴム」など。阪神・淡路大震災に関連した作品も多数ある。

岡本貴也さんと不二子 ミックス(メス 2歳)

犬嫌いから一転
脚本作る相棒に

 動物好きの間でひそかな人気の観客参加型の朗読劇「しっぽのなかまたち」。若手俳優の扮(ふん)するペットたちが、自分たちの境遇をリアルかつユーモラスに語り合う作品。脚本担当の1人が岡本貴也さんだった。

 「この作品を書く前の僕は犬嫌いだったんですが、芝居のプロデューサーが、動物好きでない方が、偏見のない作品が書けるだろうと依頼してきたんです」

 脚本を作るためペットについて調べるうち、人間は犬という生き物に対して責任を持たなければならないとの思いに至った。そして犬を飼ってみたくなったという。

 「立ち耳で鼻が長い犬らしい犬がいいな」とネットで探し、千葉県のボランティアが保護した子犬を見つけた。そこのトレーナーが付けた名は不二子。4匹きょうだいで、オス3匹に対しメス1匹なので、アニメ化や実写化もされた名作漫画「ルパン三世」の登場人物を当てはめたのだ。

 「不二子はかわいくて人気の子犬でしたが、僕が最初に申し込み、しかも自宅が仕事場なので犬をよく見てやれるということで、わが家に来てくれました。ワクチン接種の前は地面を歩かせない方がいいと、ベビーカーに乗せて散歩させたので、めちゃ恥ずかしかったですね」

 不二子はすくすく成長。白い日本犬なので、撮影現場などに連れていくと、携帯電話のCMで名高い「カイくん」に間違えられるとか。

 「すごく活発なので散歩も大変です。でも保護施設でいろいろな犬と遊んで育ったせいか、ドッグランでも付き合い上手と褒められます」

 ある時、芝居プロデューサーの愛犬が、末期がんで倒れ、不二子が供血することに。不二子の血が入っていくと、死にかけていた犬がふうっと起き上がった。最期の別れの時を数日延ばすことができたという。

 「獣医師が言うには、不二子の血は普通の犬の3倍くらい、いい血液とか。どうりで元気なわけだと思いました」

 家の仕事場では、足元にいつも不二子が待機。岡本さんが手を休めると、待ってましたとばかりじゃれてくる。

 「これがうれしいんですね。犬はものすごくピュアな生き物。そして、人間にすごく気を使うのも不思議です。最近は人間の悪をテーマに芝居を書きましたが、犬にとっての悪は何だろうとか、いろいろ考えを巡らせています」

 犬嫌いが転じて、今や「犬好き脚本家」の岡本さん。不二子からのインスピレーションで、岡本さんの世界も膨らみそうだ。  (文・宮晶子、写真・高嶋ちぐさ)