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空をひしと抱き締める山岡未樹さん=東京都内で
空をひしと抱き締める山岡未樹さん=東京都内で
プロフィール

やまおか・みき 北海道出身。第5回日本ジャズヴォーカル賞「新人賞」、第23回の同「大賞」を受賞。2011年にデビュー30周年記念アルバム「I’m a woman,Now-MIKI」をリリース。ジャズヴォーカル教室の講師としても20年目を迎え、常に130人あまりの生徒を指導している。

山岡未樹さんと空 猫(オス 18歳)

必死につないだ
命と過ごす幸せ

 ジャズシンガー、山岡未樹さんのペットは黒猫の空(くう)とタンゴ。シャイなタンゴは早々に隠れてしまい、空が撮影に協力してくれた。

 「空もタンゴも1997年にわが家に来ました。2匹とも今18歳です。タンゴは7月、皮膚病でぼろぼろになっていたのを公園で保護しました。空は9月に公園に捨てられていた子猫6匹を見つけた近所の子どもたちが、わが家に連れてきたのです」

 当時から山岡さんの家には保護猫たちがおり、近所の子どもたちがよく遊びにきていたという。彼らが空の入った段ボールを抱え、「猫のおばちゃん、この子たちを助けて!」と涙ながらに訴えたのだった。

 当時は悪性リンパ腫に冒されたオス猫や、2カ月前に保護され皮膚病を治療していたタンゴなど計4匹の猫がいた。加えて6匹の子猫・・・。

 「仕事も病気の猫たちの面倒見もありましたが、命に『待った』はありません。2時間おきにミルクを与え、時にはケージに入れて職場に連れて行き、友人たちの力も借りて育てました」

 子猫たちはたくましく成長。それぞれに飼い主が見つかり手元から離れていった。

 「でも1匹だけ未熟児で、いつ死ぬか分からない子がいました。ミルクの飲み方が悪く、点滴をしていましたが、幸い命は取り留めました。その子が空です。命を永らえたので、真言宗の開祖、弘法大師『空海』の名前から、『空』をいただきました」

 どうにか育ち、ワクチンも終わった時に「黒猫が欲しい」という人が現れた。ところが10日ほど経過して、「おなかに白い毛が生えてきたのでお返しします」と言われたのだった。

 「数本の毛でしたが、それを理由に戻されてきたのが、クリスマスイブ。以来、うちの子になって元気に生活しています。少し反応が鈍いのですが、まったりとしていてかわいいですよ」

 山岡さんに抱かれて「ふにゅあ」と鳴く空。確かにのんびりしているが、カメラ目線で撮影に堪える辛抱強さは見事だった。

 「今まで飼ってきたすべての猫が捨てられたり、放浪していたり、車にはねられたりしていた子たちでした」

 高額な医療費やケアの時間がかかるのを覚悟して、手厚く世話をしてきた。しかし最善を尽くしてみとっても、必ず悔いは残るという。

 「あと数年、タンゴと空と一緒に過ごせる時間を大切に楽しみたい」

 山岡さんにミルクを飲ませてもらい育った空も、みゃあとうなずくように応えた。(文・宮西ナオ子、写真・淡路久喜)