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琵琶の練習をする榎本百香さんに甘えるネロ=東京都内で
琵琶の練習をする榎本百香さんに甘えるネロ=東京都内で
プロフィール

えのもと・ももか 東京都出身。東京音楽大ピアノ科卒。在学中の8年前、鶴田流琵琶奏者・田中之雄さんの演奏に感銘を受けて弟子入りし、琵琶奏者に。第50回日本琵琶楽コンクールで1位となり文部科学大臣賞など受賞。古典から現代邦楽まで幅広いジャンルで活動中。

榎本百香さんとネロ 猫(オス 1歳)

琵琶の音好きの
やんちゃな暴君

 若手琵琶奏者として演奏会や講演で精力的に活動する榎本百香さん。優美な和服姿だが、ひとたび琵琶を手にすると、聞き手の体の奥底に響くようなダイナミックな演奏を始める。

 「琵琶の音色は独特なので、家で練習を始めると、家族も高齢の猫たちも寄ってきません。唯一、若いネロだけが練習部屋に来てくれます」

 榎本さん宅は両親、兄弟の5人家族。母が昔から猫好きで、常に数匹の猫がいた。現在は16歳になるキジトラのオス「ぽう」、10歳の三毛猫「ミミ」、そして1歳になったばかりのネロの3匹だ。

 「ぽうとミミは琵琶の音が苦手。多分、彼らが暮らしている環境に、後から琵琶を持ち込んだからでしょう。でもネロは小さいときから琵琶を聞いてきたので、抵抗なくなじんだんでしょうね」

 ネロはちょうど1年前の夏、家の前で鳴いていた子猫だった。榎本さんが家に入れ、飼うことになった。

 「捨て猫だったんでしょうが、なぜかオデコの部分の毛が丸くそられていたんです。皮膚炎にでもかかっていたのか、いたずらでそられたのか分かりませんが・・・」

 訳ありな感じだったが、体は健康。性格も素直で人なつこい。やんちゃなためか家族にローマ皇帝の暴君の名をつけられたが、来客は玄関まで出迎え、いつも人と一緒にいたがる甘えっ子だ。

 「高齢のぽうは気難しく、ミミはプライドが高い。私はネロのようなのんきなタイプと相性がいいんです」

 榎本さんの琵琶の音色を子守歌代わりに育ったネロは、曲に合わせて面白い反応を見せる。例えば弾き語りで知られる「平家物語」など古典の曲には、戦いのシーンなどを激しく表現する「崩れ」という演奏部分があるが、この崩れが盛り上がってくると、ネロもだんだん興奮して部屋中を走り回るという。

 「なんとなく演奏するのでは駄目。私が本当に曲にのめり込んだときだけ、ネロも走り回るんです」

 だがその活発さゆえに、家族が常に気配りしているのは脱走防止。

 「母が言うには、ネロは外に出ると、車にひかれやすいタイプだそうです。だから絶対気をつけなさいと」

 家の前の道路に飛び出そうものなら危険がいっぱい。そこで玄関扉や窓という窓は、すべてワイヤネットで厳重にガードし、家族全員で脱走を防いでいる。

 今や、一家のアイドルのネロ。完全室内飼育のネロの興味は、ますます音楽に向かいそうだ。(文・宮晶子、写真・七森祐也)