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鏡味仙三郎さんが「すっかり家族の一員になりました」と話すコザクラインコたち=千葉県内で
鏡味仙三郎さんが「すっかり家族の一員になりました」と話すコザクラインコたち=千葉県内で
プロフィール

 かがみ・せんざぶろう 1946年、盛岡市生まれ。9歳の時、江戸太神楽12代目故鏡味小仙さんに入門、60年から仙三郎を名のる。78年、芸術祭優秀賞。2004年、太神楽曲芸協会会長に。

鏡味仙三郎さんとくるみ、みかん コザクラインコ(メス 10歳、オス 1歳)

代々のお家芸は
名前上手に発声

 傘に物を載せてくるくる回したり、口にくわえたバチで土瓶を転がしたりする曲芸「太神楽(だいかぐら)」。この日本の伝統芸を続けて60年、現在も毎日寄席に立つ鏡味仙三郎さん。家ではいつもコザクラインコの「くるみ」と「みかん」に励まされている。

 「うちのインコは芸がなくてね。唯一、自分の名前を言うくらい。それも朝一番、おはよう代わりに『くーちゃん!』と1回だけ」と笑う。

 くーちゃんことくるみはもう10歳。みかんはまだ1歳で、こちらは近所で一人暮らしをするようになった娘が飼い始めた。

 「娘は、子どものころからコザクラインコと一緒なので、いないと寂しいと。でも自分が留守中、心配なので、毎朝ここにみかんを預けて仕事に行き、夜迎えに来ます。実家はインコの託児所代わり」

 お姉さん風に落ち着いたくるみに、若くて元気なみかん。2羽とも人なつこく、だれの手にもちょこんと乗ってくる。

 鏡味さん宅のコザクラインコ歴は長く、くるみは3代目。きっかけは、息子で弟子の仙志郎さんが幼いころに欲しがったこと。初代「みどり」は6歳で死んだが、2代目「みどり」は18歳まで生き、思い出も多い。

 「みどりも最初は大変でした。飼い始めたばかりのころ、息子の手から床に落ちて、体が動かなくなってしまったんです。何かショックでそうなったようです」

 餌を食べないので、妻が粟(あわ)玉をすり鉢ですって口に入れてやる日々。このまま死んでしまうのかと思ったが、半年ほどして、くちばしを支えに体を動かし始めた。

 「その姿が、赤ん坊がはいはいを始めるようで感動しました。インコも愛情に応えてくれるんだなあと」

 それからは元気いっぱい。外に飛び出して迷子になったこともあるが、このとき見つけられたのも、鏡味家インコに代々伝わる、しかも唯一の、名前を言う芸。

 「みどりちゃーんと呼びながら家族で近所を捜していると、どこからか『ミドリチャン!』と答える声が。見ると通り沿いのマンションのベランダで鳴いていました」

 長生きしたみどり。最期は仙三郎さんの胸の上で息をひきとった。

 現在のくるみも、みどりに似て頭がよく、多彩な鳴き声で家族とコミュニケーションする。甘えるときはフーンという鼻声。手に乗せて耳を寄せれば、ゴロゴロと猫が喉を鳴らすような音を出す。

 「夜中に仕事から帰ると、必ずピー!と喜んで出迎えてくれます。すっかり家族の一員です」(文・宮晶子、写真・伊藤遼)