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栗山民也さんにとっては、わが子のような愛犬がじゅ丸=東京都内で
栗山民也さんにとっては、わが子のような愛犬がじゅ丸=東京都内で
プロフィール

くりやま・たみや 東京都町田市生まれ。早稲田大演劇学科卒業。『ピアフ』などで芸術選奨文部科学大臣賞、紫綬褒章、第39回菊田一夫演劇賞など。6月12日から29日まで、DDD青山クロスシアターでソロミュージカル『レディ・デイ』を演出。

栗山民也さんとがじゅ丸 シバイヌ(オス 10歳)

沖縄で出会った
「わが子」に感謝

 堂々とした体格に黒光りする美しい毛並み。家中に響き渡るほどの声で番犬活動にいそしむのは、シバイヌのがじゅ丸。演出家の栗山民也さんは、おやつをあげながら相好を崩した。

 「10年前、沖縄でワークショップの仕事がありました。そこで、『シバイヌが欲しい』と雑談していたら、生徒の1人がブリーダーを紹介してくれたんです。普通の民家に50匹くらい子犬がいました。玄関に入った途端、真っ先に走ってきたのが、がじゅ丸でした」

 生後3カ月のがじゅ丸を、虫カゴに入れて東京に連れ帰った。唐突な展開のうえ、初めて飼う犬だったので、何の用意もなかったが、自宅に着くと深夜営業の店に駆け込みケージを購入。以後、生活が一変した。

 「夏は朝5時半、冬も6時には散歩に出るようになりました。子犬のころは時間になると起こしに来たからね。それまで夜更かししていた私でしたが、散歩のことを考えると早く寝なくては(笑)」

 さすがに10歳になった今は起こしには来ない。しかし早朝の散歩は続いている。

 「最近はかなりおとなしくなりましたが、以前は自分より大きな犬がいるとほえて大変でした。ドッグランに行って、放せなかった」

 「初めて飼った犬だから、アマアマに育ててしまったかな」と頭をかく。がじゅ丸は自分を犬と思わず、しかも家の中では一番偉いと思っているようだという。

 がじゅ丸の要求を受け、おやつをあげながら「かわいい」を連発。栗山さんにとってはわが子のような存在だ。

 「万が一、いなくなったら、仕事を辞めるかも・・・。そして、山にこもって・・・」とさえ言う。

 現在、栗山さんが手がけている舞台は、ジャズ界の「魂の歌姫」といわれるアメリカの歌手ビリー・ホリデイの激動の人生を描いた『レディ・デイ』。青山にある東京公演の会場は約200席という超濃密空間で舞台と客席が融合する。

 「舞台では歌が彼女をどう支えたのか、歌が人間にとってどれほど必要なものかを伝えたい。演劇は基本的には人間を描くもの。それは一匹の犬を愛することにヒントがあるのかもしれません」

 ビリーが愛した犬はチワワの「ペピ」。歴史的名曲を歌い上げる半面で、麻薬やアルコール依存に苦しんだ孤高の歌い手は、ペピとの会話に何を見いだしたのだろうか。

 「私も、がじゅ丸にいろいろなことを教えてもらっている。がじゅ丸、感謝しているよ」(文・宮西ナオ子、写真・高嶋ちぐさ)