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能楽師の大倉源次郎さんとハムスターのねずみ=東京都世田谷区で
能楽師の大倉源次郎さんとハムスターのねずみ=東京都世田谷区で
プロフィール

おおくら・げんじろう 1957年、大阪生まれ。7歳で独鼓『鮎之段』にて初舞台。85年大倉流16世宗家継承。公益社団法人能楽協会理事。一般社団法人日本能楽会会員(重要無形文化財総合認定)。

大倉源次郎さんとねずみ ハムスター(オス 推定2歳半=家に来てから2年)

ケーブルかじり
外出禁止の身に

 室町時代から伝わる能楽師小鼓方の宗家として活躍する大倉源次郎さんのペットは、ハムスターの「ねずみ」。フェイスブックにも登場し、その愛らしさにコメントなどが集中している。

 「忙しすぎて、猫の手も借りたい状態になったとき、猫ならぬ、ねずみの手を借りてパソコンを打っている写真もありますよ(笑)」

 確かに、ねずみがパソコンの前にうずくまり、画面を見ながら原稿を書いているように見える。

 「器用に封筒を開けてくれることもあります」

 その動画では、ねずみがくしゃくしゃとかわいい音を立て、目の前に出された封筒を前歯でかみ開いていた。

 能舞台で小鼓を打つ源次郎さんは気迫に満ちた、りりしい姿だが、ねずみの前では、いつもと異なるおちゃめな姿を見せる。ちょこちょこと動きまわるねずみにニンジンを楽しそうに与えている。頬袋に餌をため込んだねずみがお多福顔に変わった。

 「呼び名もいろいろ。太っているから『ぶー』、ハムスターだから『ハム』などと家族が呼んでいます」

 動物好きで、かつて猫や犬も飼っていた。しかし仕事が多忙になり、海外や地方の公演も多いので、ペットの世話はできないと諦めていた。

 「長女がハムスターを欲しいと言いだし、こんなに小さいならば旅行のときもケージに入れて持ち運べると思い、家族の一員に迎えました」

 本当の飼い主は、長女の未沙都(みさと)さん。小鼓を嗜(たしな)む大学生だが、昨年、テレビ番組に出演してアフリカまで渡り、小鼓とそっくりの太鼓のリポートをして話題になった。

 源次郎さんは「ねずみは家族全員のアイドル的存在ですが、夜行性なので、夜の時間を共にしている私に一番懐いています」と話す。

 飼い始めのころは放し飼いにしたことも。「ある日、インターネットが使えなくなって、おかしいと思ったらケーブルをかじられていました。壁をかじったりもするので、それ以来『ねずみ』と呼び、外出禁止令を出しました。今はひたすらケージの中の回し車を走っています。その横で私はランニングマシンを使ってトレーニングをしています」

 一心不乱に回し車の中を走り続けるねずみ。源次郎さんは「これに発電機を付けたいですね」と笑った。

 通常の能公演はもちろん、流派を超えて21世紀の能を考え、誰もが親しめる「能楽堂を出た能」をプロデュースし、新作能、復曲能にもチャレンジしている源次郎さん。さまざまなアイデアは、ねずみとの癒やしの時間に湧き上がるようだ。

 (文・宮西ナオ子、写真・安江実)