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岡本美鈴さんと、愛犬のメイファ(左)、ピパ。「冬は競技もオフシーズンなので、犬たちとずっと一緒です」と岡本さん=千葉県の自宅近くの海岸で
岡本美鈴さんと、愛犬のメイファ(左)、ピパ。「冬は競技もオフシーズンなので、犬たちとずっと一緒です」と岡本さん=千葉県の自宅近くの海岸で
プロフィール

おかもと・みすず 1973年生まれ。東京都出身、千葉県在住。2003年よりフリーダイビング競技を始め、06年、一定のウエートとフィンを装着して潜るコンスタント・ウエート・ウィズフィンで日本記録(61メートル)樹立。その後も記録を更新し続け、現在はアジア・日本記録(90メートル)を持つ。10年世界大会団体戦では日本初の金メダル獲得。

岡本美鈴さんとメイファ、ピパ チワワ(メス 5歳、オス 6歳)

2匹に励まされ
深海90メートルに挑む

 日本女子フリーダイビングの第一人者として、世界で活躍する岡本美鈴さん。90メートルもの深海までたった1人で潜っていくとき、心の支えとなるのが愛犬たちだという。

 「潜行するときはひたすら無心ですが、折り返して浮上するときは気合が勝負です。肺の酸素も減り体力の限界を感じるとき、犬たちを思い浮かべるんです。ここでがんばって浮上すれば、メイファとピパに会えるんだと」

 メイファは5歳、ピパは6歳になるチワワ。メイファは自分で飼い始めたが、ピパは友人から引き取った。

 5年前、岡本さんが犬を飼おうと思ったとき、まず保護グループがもらい手を探している犬をあたった。

 「ネットでいい子犬を見つけたので問い合わせると、ちょうど引き取り手が決まったところでした。その後、何げなくペットショップをのぞいてみたら、弱々しい子犬がケージの中にたたずんでいたんです。店で犬を買うのは好きではなかったんですが、この時はほうっておけないと」

 メイファとは中国語で美しい花の意味。「実家にはラブラドルレトリバーがいたんですが同じ犬でもチワワはまったく違いますね。散歩に行くにもテンションが低い。それなのに、道行く人が自分を見て、あらー!と声をあげると、喜んで走っていっておなかを出すんです。調子いいったら」

 もう1匹のピパは、ダイビング仲間の愛犬だった。彼女が数年前にがんで亡くなったため、引き取ったのだ。

 「彼女の治療中からわが家で預かっていました。未熟児で生まれた犬ということで体も弱かったんですが、最初にうちに来たときはショック状態。ごはんも食べず、手を出すとかまれました。でも彼女が亡くなったとき、ピパはひつぎの中の飼い主を見て、ポロッと涙を流したんです」

 岡本さんは、彼女に「ピパのことはまかせて!」と誓った。海外遠征が多い岡本さんだが、同居する母がよくピパの面倒を見てくれた。ピパも新しい家族の愛情に応え、次第に元気になった。最近ではメイファとおもちゃの取り合いをするほどとか。

 「ピパはジャンプが得意で、どこかに飛び乗ろうとして失敗しても、すぐまた再チャレンジして必ず成功させる。小さい体で自分なりにがんばっているんだなあと尊敬してしまいます」

 そんな2匹は、遠征中も岡本さんを励ましている。

 「犬たちの様子を動画に撮影して持っていき、ホテルの部屋でずっと流しているんです。2匹がジャーキーをかじったり遊んだりしている普段の様子を見ていると、とても落ち着いて競技に臨むことができるんです」

 (文・宮晶子、写真・高嶋ちぐさ)