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野原亜莉子さんに抱っこされるイチゴ。まるでぬいぐるみのよう=東京都内で
野原亜莉子さんに抱っこされるイチゴ。まるでぬいぐるみのよう=東京都内で
プロフィール

のばら・ありす 東京都出身。1995年「心の花」入会、佐佐木幸綱氏に師事。歌集に「森の苺(いちご)」(本阿弥書店)。2010年東京・銀座で開催の創作人形展に参加。来年1月には東京で開かれるドールショーに、リカちゃんなどの着せ替えドレスを出品予定。

野原亜莉子さんとイチゴ マルチーズとチワワのミックス(メス 1歳半)

迎え入れてから
家は喜びの日々

 歌人の野原亜莉子(ありす)さんは、野原アリスを名乗る人形作家でもある。そのそばを楽しげに走り回っているのは、真っ白でふかふか毛皮のミックス犬、イチゴだ。

 現在、野原さんが手がける人形は、19世紀ヨーロッパの貴婦人たちの間で流行したビスクドール。制作にはとても手間がかかる。粘土で原型を作り、石こうで型を取るところから始まり、さまざまな工程を経て、身体を組み立て、手作りの洋服を着せて完成させるまで、およそ1年を要する。

 制作前には作りたい人形のイメージをはっきりと持つそうだが、イチゴを引き寄せたのも、こんな犬だったらいいなぁ、という「イメージの力」だったと野原さんは言う。

 そもそもイチゴを飼うきっかけは、2年前に父親が病気で亡くなったこと。

 「母の落ち込みが非常に激しくて心配しました。体は特に悪くないのですが、生きる希望を失い、起きていられなくなったのです。母の元気を取り戻すためには、犬の力が必要だと直感しました」

 野原さんの家では以前にも、犬を飼っていたことがある。しかし、5年前に亡くなったとき、家族全員が深いペットロスに陥った。だから、もう犬は飼えないとその時思った。母親も「もう長生きはできない。犬を飼っても面倒を見切れない」と弱気になっていたという。

 しかし野原さんは、「自分が責任を持つから」と約束し、犬を迎えるところまでこぎつけた。さて、どんな犬を飼おうかと考えたとき、野原さんの中にはっきりとしたイメージが湧いたという。

 「真っ白くて、赤いリボンが似合うような犬をイメージしました。イチゴのショートケーキみたいな子。出会う前にすでに『イチゴ』という名前に決めていました」

 ペットショップで出会ったイチゴは、750グラムほどのかわいい存在。数匹いた白い犬の中でも、一番アピールしてくる元気のよい子だった。

 そうしてイチゴが家にやってきた。

 「この子が来てからは喜びの日々。母もイチゴに助けられたといってすっかり元気になりました。人形もそうですが、犬やかわいいものは、世の中に必要不可欠な存在ですね。心が豊かになり、温かい気持ちになれ、人にもやさしくなれます」

 イチゴは甘えん坊。家族がソファに座ると必ずやってきて、上げてくれとせがむ。「イチゴがそこにいるだけで、幸せな空間がふんわりと広がっていきます」と野原さん。

 野原さんの次の挑戦は、イチゴをモデルにしたビクトリア朝のドッグドレス制作とか。イチゴのドレスアップ姿が楽しみだ。

 (文・宮西ナオ子、写真・小平哲章)