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長い付き合いの野口健さんとナナ。「かみさんよりも僕の気持ちを分かっているかも」=東京都内で
長い付き合いの野口健さんとナナ。「かみさんよりも僕の気持ちを分かっているかも」=東京都内で
プロフィール

のぐち・けん 1973年生まれ。外交官の父と少年期を海外で過ごす。高校時代から登山を始め、1999年、エベレスト登頂に成功し、7大陸最高峰登頂の世界最年少記録を樹立。以後清掃登山、遺骨収集など、登山をベースに幅広く活動。

野口健さんとナナ 猫(メス 14歳)

共に冒険家同士
自然遊び大好き

 アルピニスト野口健さんの飼い猫ナナは14歳。高齢だが動きは軽やか。しかも社交的で、取材で訪れた筆者にも頭をスリスリしてあいさつする。

 「呼べば返事をするし、おなかを触ってもいやがらない。ガンジーみたいな無抵抗主義猫です」と野口さん。

 ナナは褒められたのが分かったかのように、ハスキーボイスで「ニャッ!」と返事をする。

 ナナとの出会いは、野口さんが大学8年目のとき。

 「当時、大学に近い、のどかな郊外に住んでいたんです。家に帰る途中、畑の中からナナが出てきて、ニャーニャー家までついてきました。人懐こいので捨て猫だろうと。とても寒い夜だったので、家に入れました」

 古い一軒家に山岳部の後輩と同居していた野口さんは、友人から譲り受けたラブラドルレトリバーのサクラも飼っていた。そこへナナもめでたく仲間入り。

 「といっても僕は山へ行くたび留守にするので、同居の後輩を数人増やして、2匹の面倒をみてもらいました」

 実は野口さんは、ナナが来る前の年、七大陸最高峰の登頂を最年少で達成し、大きく注目を浴びていた時だった。

 「僕を取り巻く環境ががらっと変わり、とても忙しくなったんです。でもナナやサクラがいたことで、毎日ちゃんと家に帰り、本来の自分を保てたような気がします」

 野良だったナナは散歩が大好き。「忠犬ハチ公のように僕を駅まで迎えにきてくれた」という。

 やがて、野口さんは家庭を持ち、娘のために子猫を迎えた。エジプシャンマウという種類で、名はリリ。

 「僕もエジプトの血が半分入っているので、ペット店でこの猫を見たとき、なんかひかれたんですよね。でも日本人とエジプト人が全く違うのと同じで、猫も全然違いましたね。リリは気が強くて、マイペース。年上のナナもリリに遠慮していました」

 だが、散歩好きのナナと違って、リリは室内飼育で満足していた。ところが2年前、リリはたまたま家の外に出て、車にひかれて死んでしまった。まだ5歳だった。

 家族はとてもショックを受け、それ以来、ナナも外出禁止に。昨年は犬のサクラも老衰で亡くなった。

 「ナナは家族にとって最後の砦(とりで)。ずっと長生きしてほしい。でも、いまだに外に出たがって鳴くんです。切ないですね。僕だって危険を承知で山に行くわけですから、ナナの気持ちが分かります。そのうち車のこない山の中に引っ越して、ナナに自然を満喫させてやりたいな」

 野口さんもナナも共に冒険家。似たもの同士で幸せ探しを続行中なのだ。

 (文・宮晶子、写真・高嶋ちぐさ)