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マイペースのピガ(右)と甘えん坊のユピ。「オス猫はのんびりしていて、つき合いやすいですね」と猫沢エミさん=東京都内で
マイペースのピガ(右)と甘えん坊のユピ。「オス猫はのんびりしていて、つき合いやすいですね」と猫沢エミさん=東京都内で
プロフィール

ねこざわ・えみ 1970年生まれ。福島県出身。洗足学園音大卒。パーカッショニストとして活動しながら、96年に歌手デビュー。2007年からフリーペーパー「ボンズール・ジャポン」編集長。ライブ演奏などの活動情報は ホームページ で。

猫沢エミさんと猫2匹 ピガ(オス 2歳) ユピ(オス 1歳)

愛嬌ある表情で
心温めてくれる

 ミュージシャンとして、またフランス文化の情報紙編集長として、東京とパリを往復して暮らす猫沢エミさん。

 東京都内の高層マンションの自宅には2匹の猫がいる。黒色はピガ、茶色はユピ。外の眺めを楽しむように仲良く窓辺で寝ころんでいる。彼らは、猫沢さんの2代目の猫たちだ。

 最初の猫との出会いは、17年前の歌手デビュー直前、「猫沢」という芸名を決めた直後のことだった。

 「猫沢という名は、私が猫っぽい顔をしていてインパクトがあるだろうと事務所が考えました。ところがそのすぐ後、マンションのごみ置き場で子猫を見つけたんです」

 それまでも猫は好きだったが、生活にゆとりがなく、飼おうとは思わなかった。だが、この時は何の迷いもなく連れ帰ってしまった。芸名が猫との縁を呼びこんだのだろうか?

 1匹で拾われたので、名は「ピキ」。ピキは猫沢さんと一緒にパリへ渡り、孤独な飼い主の心の支えとなり、たくさんの冒険をした。やがて東京へ帰って静かな晩年を過ごし、13年の生涯を終えた。

 ピキを失った悲しみから立ち直るまで、猫沢さんは何カ月もかかった。

 「フランスの友人たちが、彼女(ピキ)の人生は美しいものだったよ、と口々に慰めてくれました。その言葉を聞くうち、私はピキにいい生涯を与えてやれたのではないかと思えてきたんです」

 1年がたち、音楽仲間の子猫情報から、気になる黒猫を見つけた。子グマのような愛嬌(あいきょう)のある表情と、予測不可能な行動で、猫沢さんの心を温めてくれた。

 「猫の魅力はいろいろあるでしょうが、なんといっても天性のコメディアン的な資質を持っているのが、猫のかわいさだと思います」

 ピガの正式な名前は「ピガピンジェリ」。猫沢さんが長年温めてきた小説の登場人物名から取った。略してピガ。続いて弟分のユピを迎えた。こちらはフランス語で木星(ユピテル)の意味だ。

 「ピガは驚くほどユピの面倒を見て、しつけもしました。テーブルに上ろうとすると、だめだよ、とやめさせたり。おかげで弟ユピはすっかり甘えん坊です。1代目ピキとは1対1のどっぷり深い関係でしたが、2匹の猫とつき合うのも、とても楽しいものだと分かりました」

 ピキの3回忌を経て、猫沢さんはピキと過ごしたドラマチックな日々を、近著「猫と生きる。」(辰巳出版)にまとめた。

 「猫と暮らせば、また将来亡くしたときに底知れない悲しみに襲われることは分かっています。それでも私は猫と生きていこうと決めました」

 (文・宮晶子、写真・高嶋ちぐさ)