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横山未来子さんの腕にからみついて甘える健太=東京都武蔵野市で
横山未来子さんの腕にからみついて甘える健太=東京都武蔵野市で
プロフィール

よこやま・みきこ 東京都出身。歌人。佐佐木幸綱氏主宰の短歌結社「心の花」所属。1996年、短歌研究新人賞受賞。2008年、第三歌集「花の線画」で第4回葛原妙子賞受賞。

横山未来子さんと健太 猫(オス 6歳)

賢く犬似の性格
私に一目置くの

 歌人の横山未来子さんの愛猫は健太。出会いは、2006年の晩秋にさかのぼる。

 「寒いころでした。真夜中に子猫の鳴いている声がして、思わず窓を開けると隣の塀の奥から顔を出している赤ちゃん猫がいました。でも、この辺は地域猫がたくさんいるので、たまたま親からはぐれた子だと思っていました」

 翌朝、横山さんはいつものように仕事に出掛けた。夕方、家に戻ると、昨夜の子猫がまだ家の前にいた。

 「だいぶ弱っている感じでぐったりしていたので、すぐに保護しました。両手に入るくらいの大きさで、目やにで目がぐちゃぐちゃ。今にも死にそうでしたから、すぐに病院に連れて行きました。結膜炎と気管支炎があり、全身にシラミがついているという、悲惨な状態でした」

 横山さんは母猫のように子猫にミルクを飲ませた。

 「とにかく健康になってほしいから、『健太』と名づけました」

 生まれつき病弱で車いすの暮らしを続けてきた横山さんだけに、健康への願いも大きかった。しばらくは皮膚に腫瘍ができ、手術が必要なことも多く、横山さんを心配させた健太だが、今ではすっかりよくなり、その名の通り健康そのもの。家族全員の愛情を受け、一家のアイドル的存在だ。

 「健太は頭がよい子で、猫というよりも犬のようなところがあります。人の言葉も分かります。『ご飯』や『だっこ』という単語などは完全に理解しています。最近では『お手』も『お座り』もします」

 とにかく賢い。玄関にかかっている複雑な鍵もジャンプして開け、外に出てしまうほど。

 「昼間は私が仕事に行ってしまうので、健太は母と一緒に過ごしていますから、完全なおばあちゃん子(笑)」

 時々、「遊べ、遊べ」と大きくジャンプして誘ったり、目の前でバタンと倒れて「遊んでくれ」とデモンストレーションしたりする。

 「面白いのは、母の膝に乗って甘えている姿を私が目撃したとき。健太と目が合うと、ばつの悪そうな顔をして、ニャッ、ニャッと言い訳をします(笑)」

 犬のような性格の健太は、家族内の順位づけもしっかりしている。何はともあれ、命の恩人である横山さんを一番大切な人として認識しているようだ。

 「初めて目が合ったときからの縁なのでしょうか。私には一目置いているようで、いつも私の手を丁寧になめてご機嫌を取っているんです。これが母の手だと噛(か)む(笑)。もちろん甘噛みですが、私の手を噛んだことはありません」

 横山さんの短歌にも歌われ、歌集にも登場する猫。愛すべき健太は、いつも横山さんを尊敬のまなざしで見つめている。(文・宮西ナオ子、写真・淡路久喜)