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藤城清治さんの仕事机に乗るラビ。でも、決していたずらはしない=東京都目黒区で
藤城清治さんの仕事机に乗るラビ。でも、決していたずらはしない=東京都目黒区で
プロフィール

ふじしろ・せいじ 1924年生まれ。東京都出身。慶応義塾大卒。自ら始めた手法の影絵で多くの作品を描く。東日本大震災後は被災地の描写にも取り組んでいる。

藤城清治さんとラビ アビシニアン(オス 6歳)

分かっている?顔
いつも仕事眺め

 メルヘンのような影絵作品で有名な藤城清治さん。90歳を目前とした今も、精力的に制作活動を続けている。

 そのアトリエの玄関に一歩入ると、まるで動物園。ドアの横では大きなフクロウが翼を広げてあいさつし、正面では細長いくちばしのワライカワセミが、身じろぎもせずこちらを見つめている。壁際の大きな水槽には、熱帯魚のディスカスやアロワナが泳ぎ、奥の部屋では優雅な犬のサルーキが日なたぼっこ・・・。

 そして、玄関の上がりかまちの前で、旅館の仲居よろしくお座りして出迎えてくれたのが、猫の「ラビ」。姿形は野性的なアビシニアンだが、ラビは人なつこく、誰にでも近寄っていく社交的な性格。話し掛ければ、「ニャッ」と返事もしてくれる。

 ほかにも猫は、オシキャットの「メル」(メス1歳)やエジプシャンマウが2匹いるが、ラビが1番藤城さんと親しいとか。いつも主人の仕事机に乗り、その仕事ぶりを眺めている。

 「猫は何でも分かっているような顔していますよね。本当のところは分かりませんが、言葉が通じない分、より深く心が通じる気がします」と藤城さん。

 作品にもよく猫を描く藤城さんは、動物の中でも特に猫が好きなようだ。

 「ありとあらゆる種類の猫を飼いました。多い時は30匹くらい、いましたよ」と笑う。

 ラビは知人の家からもらい、メルは娘の亜季さんがペット店で購入してきた。

 鳥や犬たちは基本的にケージや個室にいるが、猫たちは自由。ラビはおとなしいが、若いメルの方は広いアトリエを走り回り、仕事机に飛び乗っては画材の鉛筆を転がして遊ぶ。だが不思議と作品にいたずらをすることはなく、「けじめ」をわきまえているらしい。

 アトリエの7人のスタッフも動物好きで、動物の世話もスタッフが交代で行っている。ラビの前は、アラメという猫が藤城さんによくなついていたという。

 「アラメはエジプシャンマウのオス猫で、いつも私の夕食を分け与えていました。ご近所でもかわいがられましたが、何度も外猫とケンカしたためか猫エイズになり、9歳で死んでしまいました」

 藤城さんは天国にいったアラメを作品に描いた。天使になったアラメが空の観覧車で遊ぶ姿を。そして今、アラメによく似たおてんばなメルが、絵のモデルになっている。

 26日、栃木県那須町に初の常設美術館「藤城清治美術館」がオープンした。東京都内でも個展を開催中と忙しい藤城さん。今日もラビとともに仕事机に向かう。

(文・宮晶子、写真・五十嵐文人)