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ルナを抱いて、一緒にいる時間を楽しむ野上こうじさん=東京都内で
ルナを抱いて、一緒にいる時間を楽しむ野上こうじさん=東京都内で
プロフィール

のがみ・こうじ 1962年生まれ、埼玉県出身。高校卒業後、自動車関連会社に勤務しながら歌手を目指す。83年、「望郷列車」でデビュー。活動情報は所属事務所の HP で。

カニーンヘンダックスフント(メス 4歳)

師匠の忘れ形見
瞳に癒やされて

 演歌歌手の野上こうじさんの愛犬はカニーンヘンダックスフントのルナ。

 「実は、亡くなった師匠が大切にしていた犬だったんですよ。ルナが赤ちゃんのときから見ているので、ぜひ僕にとお願いしました」。ルナの方も新しい飼い主にすぐになついたという。

 師匠とは作曲家の朝月広臣さん。宮崎雅(ただし)の芸名で歌手もしており、都はるみさんとデュエットした「ふたりの大阪」のヒット曲もある。野上さんは14年前、朝月さんの初めての内弟子になった。

 朝月さんはペット店があれば、必ず立ち寄るという犬好きだった。F1ドライバーから名前を取ったセナというミニチュアダックスフントを飼っていた。ある日、いつものようにふらっと入ったペット店に生まれたばかりの子犬がいた。一目で気に入り、セナの妹として迎え入れた。ルナと名付けた。

 「その時、師匠は既に膵臓(すいぞう)がんで、余命いくばくもないと分かっていたのですが・・・」

 ルナという名前の由来は分からない。夫人の朝月千夏さんは「セナと語呂合わせをしたのでしょうね」と話す。

 朝月さんはルナを迎えたものの、病状が悪化して入院してしまった。千夏さん、野上さんらはセナ、ルナを車に乗せて見舞いに通った。駐車場に車を止め、朝月さんが病室から下りてきて、2匹とのひとときを過ごした。

 セナはやんちゃでよく動き回る。一方、セナより体が一回り小さいルナは、あまり動き回らないし、鳴きもしない。でも、誰かがルナをじっと見つめると、ルナは顔を動かさず、何かを語りかけるようにじっと見つめ返す。

 朝月さんが病院から一時帰宅すると、いつも2匹をひざに抱いて過ごした。

 朝月さんは「死ぬのなら自宅で」と強く希望して、2009年9月に病院から自宅に帰った。「自宅に戻って、自分の布団に寝て、安心したのでしょうね。その日の夜に息を引き取りました」と千夏さん。家族や犬たちにみとられて。ルナを迎えてからほぼ1年後だった。

 「僕も嫌なことがあったりすると、ルナをじっと見るんですよ。ルナはやさしい目をしていて・・・。イライラや、嫌なことを忘れてしまいますね。きっと師匠もそうだったのでしょう」

 今年の秋にデビュー30周年を迎える野上さん。仕事にも気合が入る。

 「師匠は亡くなる一カ月前に、病室におもちゃのピアノを持ち込んで、僕のために『アカシアの咲く街札幌』を作曲してくれました。ルナを見ていると、師匠を思い出して、がんばろうという気がわいてきます」(文・草間俊介、写真・高嶋ちぐさ)