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愛犬のバニラ(左)とサララは能楽師の中森貫太さんの元気のもと=神奈川県鎌倉市で
愛犬のバニラ(左)とサララは能楽師の中森貫太さんの元気のもと=神奈川県鎌倉市で
プロフィール

なかもり・かんた シテ方観世流能楽師(重要無形文化財総合指定)。3歳のときに仕舞『老松』で初舞台。公益財団法人鎌倉能舞台業務理事、慶応義塾湘南藤沢中高等部講師。活動の様子は HP で。

中森貫太さんとバニラ、サララ トイプードル(ともにメス 6、4歳)

能舞台の看板娘
いたずらも一緒

 観世流能楽師として活躍する中森貫太さんの愛犬は、トイプードルのバニラとサララ。はじけるように跳び回る元気なお嬢さんたちは、鎌倉能舞台の事務所でも看板犬として愛されている。

 「バニラはNPOのペット保護団体からもらった子です。家に来たころは、いつも人のそばにぴったりくっついて不安そうにしていました」

 3年前のこと。当時3~4歳のバニラは、ガリガリに痩せてやって来た。3キロ半ほどの体重だった。それが今では6キロの豊満な姿になり、天真らんまんな明るさと食欲を発揮するようになっている。

 「保護される前に飢えで苦労したのかもしれませんね。食べ物に対する執着はとにかくすごい。食卓においてあった人間用のパンを全部食べてしまう。本は食べる。段ボールは食べる・・・」

 おやつを差し出せば、今まで跳びはねていたのにすぐに座り、食い入るようにおやつを見る。お座りも完璧だ。

 「サララはバニラが来て2カ月後、あるブリーダーさんから引き取りました。ショードッグ用の犬としての道を歩んでいたのに、鼻の色が規定に合わずショーには出られないことが判明したので、引き取るご縁をいただきました」

 1歳半まで訓練を受けていたサララは歩き方が美しいが、家庭犬として育てられなかったので、トイレのしつけや人に慣れるのに少し時間がかかったという。

 「サララを迎えるとき、バニラがどんな反応をするのか少し心配でした。でもすぐに受け入れ、仲良くなり、今では、サララの方が威張っているかもしれませんね」

 とにかく仲がいい。そして元気な2匹が日々巻き起こす騒動は数え上げたらきりがない。「家に帰ったら、生ごみが全部あさられていてがくぜんとしたことも・・・」

 とはいえ中森さんが能の稽古をしているときは、決して邪魔をせずに近くに座ってじっと見ている。時には謡を聴きながら、その気持ちよさで、うとうと眠ったりするようなぜいたくな日々を送っている。

 「くつろいでソファに座っているときは、すぐに膝の上に乗って来たりするのに、雰囲気で分かるのかな?」

 そんな中森さんの日課は、毎晩2匹の歯磨きをすること。

 「前の犬がメラノーマ(悪性黒色腫)で亡くなったので、ことさら健康管理には気をつけています。遠方の公演で朝早く家を出るときなどは、犬たちに『まだ早いから寝ていていいよ』と言います。すると、一度は起きてきたものの、またベッドに戻って尻尾を振りながら『いってらっしゃい』(笑)」

 能楽師の仕事は常に真剣勝負。緊張感の中で全力を出し切るが、家に帰れば元気いっぱいで出迎えてくれる2匹の存在は本当にうれしい。大いなる癒やしの源だ。

(文・宮西ナオ子、写真・河口貞史)