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「ちいはとても芸達者」と語る三遊亭歌る多師匠=都内の自宅で
「ちいはとても芸達者」と語る三遊亭歌る多師匠=都内の自宅で
プロフィール

さんゆうてい・かるた 1981年3代目三遊亭円歌に入門。前座名は歌代。87年二つ目に昇進、歌る多に改名。93年3月落語協会初の女性真打ちに昇進。2010年理事に就任。

三遊亭歌る多師匠とちい スムースコートチワワ(オス 10歳)

美声を披露して
おやつをゲット

 落語協会で初の女性真打ちに昇進した三遊亭歌る多師匠。愛犬はスムースコートチワワの「ちい」。うるうるした瞳で飼い主の顔をじっと見つめ、あたかも人間の言葉を理解しているかのように振る舞う。

 「ちいはスムースなのに、少し毛が長い。チワワにしてはちょっと規格外の子のようです。かあちゃんも女の噺(はなし)家さんで規格外だからね。規格外コンビで仲良しなのよね」

 生後2カ月で家にきたときは真っ黒で、眉がきりりと出ている美少年だった。

 ところが、今では体全体がロマンスグレーの美しい熟年になり、眉もはっきりとは見えなくなった。「獣医師さんにはストレスだといわれましたが、それにしても白髪が多すぎるかなあ」

 とはいえ、素早い動きは、とても10歳とは思えない。しかもとびきりの芸達者で、立派な芸名まで持っている。その名も「三遊亭ちび円歌」。

 10年前、初めて犬を飼った歌る多さんは、弟子入りしていた三遊亭円歌師匠にあいさつに連れて行った。

 「師匠。あの~、会ってもらいたい人がいるのですが・・・」。この言葉に、円歌師匠は、内心、男をつれてくるのか、隠し子を紹介するのかとハラハラしながら待っていたという。「実は、この子なんです」と紹介したところ「ああ、犬か・・・」。

 ちいはお手、おかわり、伏せ、半ゴロンなど普通の芸はお手のものだが、歌唱力もある。歌る多さんが「うう・・・」と歌うと、それを受け、ちいも一緒に「うううう、うううう、うううう」と哀愁のこもった声で遠ぼえをした。美しいハーモニーを奏でるデュエットのよう。

 この芸は円歌師匠を感動させ、「ちび円歌」の芸名をつけてもらった。以来、「お正月の初鳴き」として、円歌師匠の前で歌うと、必ずお年玉をもらうようになった。「一応、自分の食いぶちは自分で稼ぐことをモットーにしているのよね」

 歌の後はご褒美のおやつ。ちいは、歌る多さんの目をじっと見つめ、ずっとラブラブビームを放ち、おやつを与えられるのを待っている。

 「ちいの眼力は本当にすごくて、女性を悩殺するんですよ。慣れていないとクラクラしちゃうかも」

 近所に先輩がいて、預かってもらったことがあった。でも、視線にヘトヘトになって、「もうお預かりは無理」といわれたという。「ちいの眼力は女を疲れさせるのよね」

 そんな言葉に聞き耳をたてながら、ちいはひたすら飼い主を見つめ続け、またおやつにありついて、ワンと勝利の声をあげた。

 (文・宮西ナオ子、写真・高嶋ちぐさ)