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森下典子さんになでられて満足そうなミミ=横浜市で
森下典子さんになでられて満足そうなミミ=横浜市で
プロフィール

もりした・のりこ 1956年生まれ、神奈川県出身。日本女子大卒。週刊誌記者を経て、エッセイストに。代表作は「日日是好日 『お茶』が教えてくれた15のしあわせ」「前世への冒険 ルネサンスの天才彫刻家を追って」など。

森下典子さんとミミ、太郎 猫(メス 推定8歳、オス 3歳)

庭に現れて出産
幸せ運んできた

 「猫って、まさに天使ですね」という、エッセイストの森下典子さん。数年前まではまったく猫に関心がなかったとは思えない言葉だ。「私自身も、まさかこんな猫好きになるなんて思ってもみませんでした」と笑う。

 茶道や食文化に関するエッセーを多く執筆する森下さんは、横浜市の小高い丘の家に、母と2人で暮らしている。その穏やかな生活の中に突然、飛び込んできたのが現在のミミたち親子だった。

 3年前のある日、庭に出た母が叫んだ。「野良猫が子ども産んじゃった!!」

 母猫と5匹もの子猫がいた。かわいそうだが、親子ともども居つかれてはたまらない。近所にも迷惑がかかる。母が近くにある神奈川県動物愛護協会に相談に行った。

 すると、「うちでは引き取れませんが、もらい手探しには協力しますよ」との答え。途方に暮れた。

 「以前、飼い犬が死んだとき、もう動物はよそうと思ったんです。今は自分たちの将来も不安だし、余計なことは引き受けないほうがいいと…」

 だが、天使の魅力にはあらがえなかったようだ。母は見るに見かねて、子猫のために段ボールを置いてやり、食べ物も与え始めた。

 子猫たちはたくさんの協力者を呼び込んだ。親戚や友人、仕事仲間、こんなに周りには猫好きがいたのかと驚くほどの人が、子猫に会いにきては、アドバイスをし、もらい手探しを手伝ってくれた。

 子猫の4匹が数カ月のうちに引き取られていき、母猫ミミと、人見知りの子猫、太郎が残った。もうこの2匹を手放すことは考えられなかった。

 「世の中には猫のために一生懸命になれる人がたくさんいることを知りました。猫と心が通じ合うようになるには、人間には、ある進化が必要なのかもしれませんね」

 その自らの進化の過程を昨年、単行本「いっしょにいるだけで」(飛鳥新社)にまとめた。

 森下家の居間には今日も暖かい日差しが差し込んでいる。床にはホットカーペットが敷かれ、隅には猫ベッド。ドアには小さな猫ドアも。もうすっかり猫のいる家庭だ。

 母が夕食の支度を整えると、太郎が階段の下に行き、2階で仕事する森下さんに「ニャー」と声をかける。テーブルを囲むときは、きまって太郎は母の隣、ミミは森下さんの隣だ。

 「われわれ“4匹”で一緒に過ごすとき、ああ幸せだなあと思うんです。もちろん猫がくる前も幸せだったんでしょうが、猫は幸せを実感させてくれる存在なんですね」(文・宮晶子、写真・久野功)