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「保育犬なんです」と語る猪馬ぽん太さんと淳=都内の自宅で
「保育犬なんです」と語る猪馬ぽん太さんと淳=都内の自宅で
プロフィール

いのま・ぽんた 1978年生まれ。東京都出身。コメディアン。浅草21世紀所属。司会や漫才で活躍中。同劇団は浅草・木馬亭で19日まで公演中。その他スケジュールなどの情報は HP で。

猪馬ぽん太さんと淳 ダックスフント(オス 7歳)

出かけないで・・・
甘えて大騒ぎも

 東京・浅草で活躍するコメディアン、猪馬ぽん太さんの家で、淳(じゅん)は昼間だけ暮らしている。本来は、姉家族が飼っているペットなのだが、さまざまな経緯から、ぽん太さんとの付き合いが一番深くなってしまった。

 「共働きの姉が子どもを保育園に連れていくときに淳をうちに預けていくんです。だから、保育犬って呼んでいるんですよ」

 淳は義理の兄が長崎県で暮らしていた母親のためにプレゼントした犬。それまでハムスターを飼っていたのだが、2005年の福岡県西方沖地震ですべて死んでしまい、その代わりにやってきた犬だった。しかし、1年足らずで義兄の母は亡くなった。

 「義兄のお母さんが亡くなったとき、淳は一人暮らしの家で衰弱しながらも生きていたんです。だったら東京で飼おうと連れてきたのですが、姉一家は共働き。家で飼えるかどうかもわからない。当時はうちに祖母がいて昼間は1人になってしまう。犬がいればとね」

 ぽん太さんは劇団「浅草21世紀」の舞台に立つほか、「P6」という漫才コンビでも活躍している。

 「うちの祖母にも懐いていたのですが、その祖母も亡くなってしまった。仕事柄、昼まで家にいるので、淳といる時間が長いんです。寂しがり屋の淳は僕に甘えてばかり。仕事に出かけようとしたり、電話がかかってきたりすると、僕が出ていくのではないかと鳴きだして大騒ぎになるんです」

 ぽん太さんにもつい最近、突然の不幸が訪れた。浅草21世紀の座長であり、師匠でもあった橋達也さんが1月16日、病気で亡くなったのだ。舞台ではひょうひょうとしたキャラクターで笑いを誘うぽん太さんだが、ここは「ふんばりどころ」と気を引き締めているところだという。

 「橋さんの提言で若手中心の喜劇公演をやり始めたばかりだったんです。僕は舞台では頼りないキャラクターですが、せっかくお客さまも増えてきたところですから、頑張らなければ」

 「浅草喜劇の伝統をともし続けたい」と笑いに生涯をささげた師匠の死。下町に生まれ育ち、浅草演芸ホールに入り浸って、自らも芸人の道に飛び込んだぽん太さん。毎月の本公演に加えて、台本も書く若手の公演、さらに師匠のお別れの会や追悼公演の準備など多忙をきわめる中で、ホッと気が休まるのは家に淳が来て、自分に甘えてくるときだという。本当の家族ではないけれど、劇団のメンバーや漫才の相方のように、淳もまた固い絆で結ばれた大切な仲間のような存在なのだろう。

 (文・民井雅弘、写真・高嶋ちぐさ)