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稽古場の座布団がお気に入りのドナ。「おねだりポーズが得意です」と大和櫻笙さん(右)と父の久満さん=都内の自宅で
稽古場の座布団がお気に入りのドナ。「おねだりポーズが得意です」と大和櫻笙さん(右)と父の久満さん=都内の自宅で
プロフィール

やまと・ひさみつ 1938年兵庫県生まれ。87年に大和楽二代目家元に。
やまと・おうしょう 77年生まれ。2014年に三代目家元になる予定。昨年、日本伝統文化振興財団賞受賞。CDやイベントの情報は 公式HP で。

大和久満さん・櫻笙さんとドナ チワワ(メス 11歳)

稽古場に鎮座し
気分は師範代!?

 三味線の大和楽(やまとがく)の家元、大和久満さんの家は、都内の閑静な住宅街にある。玄関を入ると、すぐ奥が稽古場だ。ここでいつも弟子たちを迎えるのが大和家の愛犬の「ドナ」だ。

 ドナとは貴婦人の意。綿菓子のような真っ白い毛並みが自慢だ。娘の大和櫻笙(おうしょう)さんが飼い始めた。

 大和楽は1933年に大倉喜七郎男爵が創設した三味線音楽。伝統に新しいスタイルを取り入れた学派で、日本舞踊の伴奏などで全国に広がった。今月27日には東京・大倉集古館で、久満さん、櫻笙さんらの公演が行われる。名古屋市の中日文化センターでも、2人が週替わりで大和楽の講師を務めている。

 「以前はコリーなど大型犬を飼っていましたが、マンションに建て替えてからは、犬の吠(ほ)え声が三味線の差し障りになってはいけないので飼わないでいました」と久満さん。作曲をするときも、録音に鳴き声が入る心配があった。

 しかし、どうしても犬が欲しかった櫻笙さん、東京芸大を卒業したとき、自分へのご褒美にと、ペット店で見つけたドナを家族に断りなしで買ってしまった。「私と同じ誕生日で縁を感じたんです」

 ドナのあまりのかわいさに、家元も文句を言えなかったが、「入れていいのは居間だけ」と注文をつけた。

 ところが、ドナはまったく吠えず、お行儀もよく、トイレ以外の場所でそそうしたのは1回だけ。あっという間に全室を制覇してしまい、稽古場はドナのお気に入りの場所となった。

 「といっても、たまには三味線のバチをガチガチにかんでしまったこともありましたけどね」と櫻笙さんはこっそり打ち明ける。

 「お弟子さんが来るたびに出迎えて、稽古中は静かに待ち、終わるとお見送り。朝から夕方まで7、8人の稽古をした後は、ドナもさすがにぐったりします、とにかくお弟子さんが大好きで」

 大和楽家元のアイドル、ドナ。だが数カ月前、ある出来事が-。

 大好きなお弟子さんを大はしゃぎで出迎えたドナが、突然失神してしまった。驚いた家族が抱き上げると、間もなく意識が戻り、何事もなかったように歩きだした。実は最近、心臓に病気があることが分かり、治療を受けていたのだ。

 「薬を飲んでいますが、興奮すると失神することもあるんですね。獣医師からもなるべく喜ばせないようにとアドバイスされています。ちょっとかわいそうですが、高齢なので気をつけないと…」

 ドナの熱烈歓迎も、当面は控えめになりそうだ。(文・宮晶子、写真・安江実)