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山路徹さんがピアノを弾くときも、そばを離れないとら=都内で
山路徹さんがピアノを弾くときも、そばを離れないとら=都内で
プロフィール

やまじ・とおる 1961年東京都生まれ。テレビ制作会社を経て、APF(アジア・プレス・フロント)通信社設立。ミャンマーなど世界各地の紛争地を取材。

山路徹さんととら、マロ 猫(オス 6カ月、3カ月)

亡き友の再来!?
ピタリ寄り添う

 ジャーナリストの山路徹さんと、愛猫の「とら」との出会いは4月初め、東日本大震災後の取材で行った福島県南相馬市だった。

 山路さんは、震災直後から福島第1原発から30キロ圏内の地域に入り取材を始めた。3月末には避難指示区域に取り残されたペットのレスキューを始めた。

 南相馬の自宅に犬を置いて避難した飼い主に頼まれ救出に向かった先で、とらと出会ったのだった。

 「犬を見つけて、良かった良かったと食べ物を与えていたら、どこからかミャーと鳴く声。庭のフェンスの向こうから、子猫が助けを求めていました」

 首輪もなく、飼い猫ではないだろうと東京に連れ帰った。ペットを飼った経験はなかったが、このときは何の躊躇(ちゅうちょ)もなかったという。

 「普通の猫は警戒心が強くて、保護しようとしてもなかなか近づいてこないものです。でも、とらは自分から僕に近寄ってきてくれた」

 東京に着いて間もなく、とらは倒れてしまった。獣医師は「もう1日2日の命でしょう。眠らせますか?」と言ってきた。しかし、未曽有の災害を生き延びた命をここで終わらせたくはなかった。毎日看病を続けると、うそのように回復した。

 「とらはどことなく、人間のような雰囲気を持っているんだよね。今まで何人も仲間を亡くしているけど、その誰かがとらに乗り移っているのかも」

 家では山路さんのそばを離れない。趣味のピアノを弾くと、足元に来てうっとり聴いている。その表情はまるで山路さんの旧友のように穏やかだ。

 すっかり猫が好きになり、ボランティアの紹介で、もう1匹、捨て猫の「マロ」をもらった。守るべき存在が2匹もできた山路さん。危険な取材には行きにくくなるのでは? 「そうかもしれませんね」と笑った。

 山路さんにとって、今回、ボランティアの協力で始めた犬猫レスキューも初めての経験になる。

 「今回、動物を救うという活動のプロセスで、逆にたくさんの癒やしを彼らからもらっていることに気付きました」

 人間社会は、もっと動物に対する評価を改めるべきだと指摘する。

 3カ月にわたった動物レスキューの記録を「ゴン太ごめんね、もう大丈夫だよ!」(光文社)にまとめた。

 とらたちを通して、山路さんは小さな命の大切さを伝えている。

 (文・宮晶子、写真・圷真一)