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「ハンサムな猫でしょう」と語る塚本さん=都内で
「ハンサムな猫でしょう」と語る塚本さん=都内で
プロフィール

つかもと・よししげ マハラジャ、天竺(てんじく)屋、アジャンタ、ガンガーパレスなど、インド料理の有名店で10年間にわたって修業。1997年に現在の自分の店「新・印度料理 たんどーる」を開業。

塚本善重さんとチョコナン 猫(オス推定5歳)

創作を助ける
心のスパイス

 東京都中野区にある14席だけの小さなインド料理店。店主の塚本善重さんが考案する創作カレーが有名で、グルメ雑誌にも度々取り上げられ、「噂(うわさ)の!鶏肉の梅カレー」が中野区から中野の逸品グランプリで表彰されたこともある。店主のパワーの源になっているのが、かつてはホームレスだったオス猫のチョコナンだという。カレーと猫、ちょっと気になる。

 チョコナンはいつもは店に出ていない。取材のため、特別に店に連れてきてもらった。

 推定年齢5歳のオス。精悍(せいかん)な面構え。ボディーはチョコレート色。店にはオリジナルのチョコレート入りナンがあり、それでチョコナンという名前を付けた。「ハンサムな猫でしょう」と塚本さんの顔がゆるむ。一方、チョコナンは店が珍しいのか、いつもとは違う飼い主の動きを、大きな瞳でじっと追っていた。

 チョコナンとの出会いは2006年の夏。塚本さん夫妻が住んでいるアパートに、猫好きな住民が住んでいて、敷地内には数匹の常連猫がいつもいた。その中でも特に人懐こくかわいい子が、時々塚本さんの所まで入ってくるようになった。

 塚本さんは小さい時から猫好きで、いずれチャンスがあれば飼いたいと思っていた。奥さんの了解を得て、その猫を迎え入れた。

 一緒に暮らすようになって4年半。「毎日、家に帰るのが楽しくなりました。でも、前みたいに気軽に旅行に行くことが難しくなりましたけれど」

 チョコナンと良好な関係を続ける塚本さんだが、アパートの敷地に来る他の外猫たちの保護活動について残念な思いもある。

 「狭いわが家でも1匹くらいなら飼ってあげられる。でも、他の子も全部、保護するわけにはいかないです」

 それでも、家にいる時間の多い奥さんが外猫の面倒も見ている。例えば、アパートの敷地内によくやってくる外猫に対して餌をあげる、敷地内に猫のトイレを作ってその管理をする、自費で避妊や去勢手術を受けさせる、同じく自費で病気になったり弱ったりしている猫がいたら獣医師に連れていく…。

 お金も時間も手間もかかるが、塚本さんご夫妻にとっては、大切な活動の一つ。

 自宅に帰れば、チョコナンがいる。疲れていても、チョコナンが癒やしてくれる。明日への元気が出る。

 「チョコナンはカレーを食べません。カレーとはまったく関係ないけど、チョコナンを見ていると、頭が空っぽになるから、新しいカレーを考えるのに役立っているのかもしれません。チョコナンは最高の家族ですね」

 (文・宮西ナオ子、写真・五十嵐文人)