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「黒曜石の瞳」と山勢さんが言うように、ポチは真っ黒な瞳がチャームポイント=都内の自宅で
「黒曜石の瞳」と山勢さんが言うように、ポチは真っ黒な瞳がチャームポイント=都内の自宅で
プロフィール

やませ・しょういん 1932年東京都生まれ。東京芸大大学院修了。2000年箏曲山勢派6代目家元を継ぎ、松韻を襲名。翌年、人間国宝に。米国の大学でも教壇に立つ。

山勢松韻さんとポチ、さくらこ
 猫(オス 2歳、メス 1歳)

箏の音色で昼寝
甘えるの大好き

 どこからか箏(こと)の音が聞こえてくる箏曲演奏家の山勢松韻さんの自宅。暖かい居間で愛猫ポチが体を伸ばして昼寝していた。山勢さんが呼んでも持ち上げても、なかなか起きない。よほど気持ちがいいのだろう。

 「本当におっとりしています。猫は何匹も飼ったけど、こんな性格は初めて。猫の着ぐるみを着た犬なんじゃないかってね」と山勢さん。

 名前も犬のようなポチだが、その由来は目の上にポチッとついた眉のような模様から。瞳も日本人形のように黒々とし、まるで黒曜石のよう。山勢さんが見立てたという和柄の首輪が似合っている。

 ポチはリードをつけて散歩もする。

 「散歩に行きたくなると、自分でリードをくわえて、ガタン、ズルズルと引きずってきます。1日に2回、せがまれるときもありますよ。舞台で忙しくて連れていけないと、機嫌が悪くなります」

 山勢さんはこの十数年間、猫を飼っていなかった。だが、2年前、神楽坂(東京)にある料亭の女将(おかみ)に、ノラの子猫のポチを飼わないかと持ちかけられた。

 「私も忙しいけど、猫はあまりかまってやらなくても大丈夫だろうと。でも、ポチは大丈夫じゃなかったですね。とにかく甘えっ子で」

 弟子たちの前にも顔を出す。かわいがられるのが大好きなのだ。

 ある日、山勢さんが帰宅した時、ポチが助けを求めるような顔をしてやってきた。前足の付け根が真っ赤に腫れていた。自分でなめすぎて炎症を起こしたのだ。

 「寂しさが原因かもしれないと。友達がいればいいのではと、獣医師の紹介でメス猫のさくらこをもらいました」

 幼いさくらこは、ポチを母猫と勘違いしたのか、ポチのおっぱいを毎晩吸った。優しいポチはそれを拒まず、2匹はすっかり仲良くなった。

 2匹の猫たちがいつでも追いかけっこをして遊べるよう、部屋のドアや障子にも特注で猫ドアをつけた。

 「それでも、ポチのなめすぎの癖は完全に直らず、今も治療中。さくらこのほうは大変な臆病で、病院に行くにも安定剤を飲ませてから連れていくほど。猫がいると心配も増えて、よいのか悪いのか分かりませんね」。そう笑いながら話すが、2匹は山勢さんの自慢であることは疑いもない。猫アルバムは日に日に厚くなっていく。

 今年の秋は舞台が続いた山勢さん。テレビも正月恒例の邦楽番組の収録が控えている。

 「それで今年は終わり。年末年始は猫たちと水入らずで過ごせそうです」

 (文・宮晶子、写真・梅津忠之)