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カメラ目線もばっちり、りりしい姿。観世喜正さんと福助=観世さんのけいこ場で
カメラ目線もばっちり、りりしい姿。観世喜正さんと福助=観世さんのけいこ場で
プロフィール

かんぜ・よしまさ 1970年生まれ。慶応大卒。観世流シテ方。父は三世観世喜之。2歳で初舞台。「観世九皐(きゅうこう)会」の理事。同会の公式HPは「かんぜこむ」で検索。

観世喜正さんと福助 猫(オス 10歳)

礼儀正しさは
能楽師の家系?

 観世喜正さんの能のけいこ場に、悠然とした足取りで入ってきた福助。部屋をゆっくり1周したあと、大きな鏡の前に座り、映った自分をじっと見つめている。その白とグレーの毛並みが美しいことを知っているかのように。

 「猫の日めくりカレンダーを見ても、福助のような毛色の猫はあまりいないようです。猫に詳しい知人によると、ロシアとか北方の猫の血が入っているのではと。毛もみっしりとあつく、暑がりで、冬でもふとんに入ってこないんですよ」と観世さん。

 観世さんにとって、この福助は初めて飼う猫。結婚して間もなく、奥さんの妹がゴミ捨て場の近くにいた子猫の福助を拾った。奥さんが猫好きで、すぐ引き取ることに。命名も奥さんだ。

 「私も実家でチワワ犬を飼っているので、猫に抵抗はなかったですね。むしろ犬と違って、ずいぶんほったらかしでいいので、驚いたほど。最初、猫アレルギーの症状が出たんですが、不思議なことに、福助と一緒にいるうちに出なくなりました」

 福助は、箱の中に入ってみたり、たんすの上に上ったりと、猫らしいしぐさで夫妻を笑わせてくれた。だが、大きくなってくると、想像だにしなかった一面が現れてきた。

 「怖いんですよ、怒ると。気が向かないときに抱っこしようとすると、バリバリッと引っかくし、なでようとすると、バチーンと強烈な猫パンチで吹っ飛びますよ。小さいころにきょうだい同士で遊んだ経験がないので、加減を知らないんでしょうね」

 去勢すれば、少しは穏やかになるかと期待したが、まったく変わらず。ベランダから2、3軒先まで遊びに行く「プチ脱走」もしばしば。近所の人やノラ猫にケガさせてはいけないと、奥さんが捕まえにいくが、手を出すとやっぱりバリバリッ! 今は脱走しないよう閉じ込めている。

 「でも、小さな子どもに手を出すことはないので、そのへんはわきまえているのかも」

 福助の強靭(きょうじん)な神経は長所でもある。誰が来ても人見知りすることはなく、「会話」も得意。ボウルに水がないと、「ニャンニャン」と要求し、ついでやると、「ンニャー」と礼を言うとか。さすがに能楽師の猫である。

 観世さんのホームページには、福助が登場する能の解説コーナーがある。写真と親しみやすい語り口で、観世さんを紹介しており、能ファン以外からも反響があるという。

 「古典芸能を普及させるのに一役買っていることは間違いない。その意味では招き猫ですよね。うちでは、フクさまと呼んでいます」

 (文・宮晶子、写真・潟沼義樹)