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「イザベラ、長生きしてね」と楠ひとみさん=都内の自宅で
「イザベラ、長生きしてね」と楠ひとみさん=都内の自宅で
プロフィール

 くすのき・ひとみ 犬の服デザイナー。高知県生まれ。著作は本文紹介のほか、「お姫さま犬Cooking」。本人のHPあり、「ISA-ISA」で検索可。


楠ひとみさんとイザベラ スタンダードプードル(メス10歳)

自分でできる
愛情込めた服

 家具や調度品、壁紙などがルネサンス調にまとめられた部屋で、ドレスで着飾った犬が遊んでいる。ドレスは部屋の主で飼い主の楠ひとみさんの手作り。犬の名前はイザベラ。

 「犬にフリフリの服を着せるなんて」という声もあるが、楠さんは「犬は嫌なものは嫌と意思表示する」と話す。

 「イザベラは青色や灰色の服を着せようとすると、嫌がります。ピンクのフリフリやレースがたくさんあると、喜ぶんです。犬は色がわからないといわれていますけど」

 イザベラとの出会いは10年近く前。ペット店でヨタヨタしていたスタンダードプードルが目についた。店員は売れ残りで明日ブリーダーに返却するという。ガリガリに痩(や)せていた。目と目があうと、犬は訴えてきた。それで、楠さんはその犬を迎え、姿からスペインのイメージを感じ、イザベラと名づけた。最初は病弱だったが、ケアすると元気になっていった。

 ある雨の日、イザベラに市販のレインコートを着せて散歩に出たが、嫌がった。それで、楠さんは自分でイザベラの服を本格的に作ろうと思った。

 楠さんは高校卒業後、銀行に勤め、仕事のかたわら、夜間の洋裁学校に2年間通い、洋裁には自信があった。イザベラの採寸をし、型紙を起こし、服を縫い上げた。

 ある日、繁華街のペット可のオープンカフェに、着飾ったイザベラと一緒に行った。服を着たイザベラは目立つ。「その服どこで買ったの」と話しかけられた。「自分で作ったのよ」。質問の主は驚いた。「いつの間にか服の製作を頼まれるようになって-」

 ペットの家族化が進み、誕生日などに特別な服を頼まれることが多いという。

 頼まれると、犬の個性というか性格や生活を聞く。よく動く犬か、ゴロゴロするのは好きか、それにあわせてデザインを決める。採寸では犬の体を50カ所ほど測り、型紙もパーツごとに50枚ほどになる。裁断して縫製。完成するまでに最低でも30時間はかかる。いわば犬のオートクチュール。

 楠さんによると、洋裁の経験のない愛犬家が自分でこうしたドレスを作るのは難しいという。それで、「1日でできちゃう♪ プードル服」(講談社)という型紙付きのノウハウ書を出版した。

 「世界で一匹だけの犬に、世界で一着だけの服を、みなさんそういうオンリーワンという思いが強いようです。私の作った服を大事にしてくれている人もいて、デザイナー冥利(みょうり)につきますね」(文・草間俊介、写真・川北真三)