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まるで母子のよう。堂本暁子さんとラブ=千葉市内の自宅で
まるで母子のよう。堂本暁子さんとラブ=千葉市内の自宅で
プロフィール

 どうもと・あきこ 1932年米国生まれ。東京女子大卒、TBSで記者・ディレクターとして活躍。2001年千葉県知事に当選、2期務め引退。公式HPは名前で検索。


堂本暁子さんとラブ ラブラドルレトリバー(オス4歳)

苦楽をともにし
寄り添う“護衛”

 「広い庭のある知事公舎で育ったから、マンション暮らしに慣れるか心配です」。堂本暁子さんは、今年4月に千葉県知事を退任したばかり。新居である千葉市内のマンションを訪ねると、堂本さんとラブラドルレトリバーのラブが出迎えてくれた。

 この犬種は、性格が穏やかで賢く、盲導犬としてもおなじみ。ラブもいかにも優しそうな顔つきだが、カメラを向けると、半歩だけ堂本さんの前に出た。その様子は、まるでボディーガードのようだ。

 堂本さんが「育児日記」と書かれたノートを見せてくれた。「骨型ガムをかみ続ける。よほど、歯がむずがゆいのか」「一生懸命かけてくる姿がかわいい。芝生の上で初めて排尿する」-などラブの写真とコメントがぎっしり。間違いなく母親がつけた、愛情あふれる子どもの記録だ。

 ラブとの出会いは4年半前、堂本さんが母親を亡くし落ち込んでいた時だった。当時公舎の隣に住んでいた県警本部長が「同じ境遇の時、愛犬が心を癒やしてくれたから」と犬を飼うことを勧めてくれた。「どんな犬が好き」と聞かれた堂本さんには、忘れられないシーンがあった。

 知事になって2期目、盲導犬協会などの要望を受け、県議会で盲導犬に関する審議を行った際、視覚障害者とともに盲導犬の傍聴も許された。県議場に犬が入り、マスコミも注目した。ところが、堂本さんがいざ議場を見渡すと、犬たちの姿がない。

 「今日はワンちゃんたちが来るはずだったのですが、どうしたのかしら」

 その声が議場内に響くと、飼い主の足元に伏せていた盲導犬たちが一斉に起き上がり、ちょこん、ちょこんと2階席の手すりから、順番に顔を出したのだ。

 「まるで、映画のワンシーンのようでした。もうかわいくって、かわいくって」

 その時から、犬を飼うなら、ラブラドルレトリバーと決めていた。それで、ラブを迎えた。

 広い知事公舎でふたり。県職員や訪問客が帰った後、堂本さんが苦悶(くもん)し、眠れない姿もラブは見てきたに違いない。

 「ラブは、少々、人見知りなの。私に似ず、臆病(おくびょう)だから」

 ラブと生活するまでは「ペットロス」という言葉も知らなかったが、今は失った時の喪失感がいかに大きいかも想像できる。同時に、それだけ人間が孤独になっている社会なのだということも考えずにはいられないという。

 「なんだか今日はごきげんね」と堂本さんが目を細めると、ラブもニッコリと笑った。母子に似た温かい笑顔に見えた。(文・高比良美穂、写真・安江実)