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「今年の夏は、水の苦手なセンパイと一緒に海で泳ぎたい」と笑う、石黒さんと妻の由紀子さん=都内の自宅で
「今年の夏は、水の苦手なセンパイと一緒に海で泳ぎたい」と笑う、石黒さんと妻の由紀子さん=都内の自宅で
プロフィール

 いしぐろ・けんご 作家・編集者。1961年金沢市生まれ。「盲導犬クイールの一生」「犬がいたから」など犬に関する著作多数。他にもカルチャー、趣味などかかわった書籍は150冊を超える。

石黒謙吾さんとセンパイ 柴犬(メス3歳)

少年のような顔
ビビビッときた

 「盲導犬クイールの一生」の著者、石黒謙吾さん。自宅マンションのドアが開くと、愛犬のセンパイが飛び出してきた。かわいい少年のような顔に、つい「センパイ君!!」と声をかけると、「女の子なんですよ」と石黒さん。

 「男っぽい、変わった名前なので、えー、センパイですかって、よく笑われますよ。ヤンキーっぽい名前がいいと思って、最初、冗談で呼んでいたら、振り向くようになって」と笑う。

 足もとにじゃれついてひとしきり歓迎のあいさつをすませたセンパイは、部屋のベランダの前に寝そべった。窓からの風が気持ちよさそう。夫婦ともに犬が好きで、数年前、ペットと暮らせる今のマンションに入居して「いつかは犬を」と思っていたという。

 でも、好きなラブラドールレトリーバーは、大型犬のためマンションの規約で飼えない。そんな矢先、柴犬より小さな、いわゆる豆柴のセンパイと出会う。その出会いを石黒さんは、さらっと説明してくれたが、妻の由紀子さんがこっそり「夫は雷に打たれたんです」と教えてくれた。センパイを見た瞬間、ビビビッときたらしい。

 石黒家の一員となったセンパイはなかなかいい子のよう。ほえて困らせるということをしない。それに、センパイを通してご近所との会話も増えた。でも、一つだけ困っていることがあるという。

 「(センパイは)早起きなんです。朝が苦手な妻は起こさないけど、私は5時から起こされる。とにかくご飯食べたいだけ。今は6時に食事と決めているので、意地で寝てるんです。起こされるままにしていたら、4時、なんてことも。でも、せめて7時にしたい。たまんないですよ-」

 石黒さんが子どものころ、犬は友だちだった。足が不自由だったジョンや10歳の時から一緒に過ごしたテリアの雑種のロック。おじさん2人が獣医師だったことも、動物への関心を深めた理由だ。

 15年前、盲導犬クイールの本を書くきっかけとなった秋元良平さんの写真集と出会う。「盲導犬のことはよく知らなかったけど、人と犬の絆(きずな)がよくわかる、いい話だと思ったんです」と、当時を振り返る。ドラマや映画にもなったこの作品は、多くの人々の心を揺さぶった。「出版社も10社近く断られたんですが、いろんな偶然が重なって奇跡的に本となりました。犬との縁は、深いものを感じています。そして今は、年間、20万匹処分されている犬たちが1匹でも多く救われればと思っています」

 石黒さんの気持ちは、今、たくさんの犬たちへ向けられている。

 (文・星川きよみ、写真・中西祥子)